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生きている機械!?

分子レベルで動かす!

カギを握るアクチュエータ

図

 生物のように柔らかい機械は生物である人間と協調しやすいので、医療、福祉など、人間そのものを扱う分野で特に求められています。

 ところで、今までの機械の概念をくつがえすと言っても、機械としての最低限の定義は変わりません。まず動かなくては機械とは言えないでしょう。動く部分はアクチュエータと呼ばれ、人間でいえば手足に相当します。それから今日の機械では感じる部分、つまりセンサは必需品であり、人間の五感に相当します。さらに機械全体のシステムを制御するコントローラ、人間でいえば脳、神経系が大きな役割を果たします。

 さて、アクチュエータ、センサ、コントローラの中で、実際に作業を行うのはアクチュエータ、つまり手足です。ですから、生物のような柔らかい機械を作るには、このアクチュエータに一工夫も二工夫も必要なのです。例えば、まず柔らかい材料であることが最低条件です。さらに医療へ応用するには、体を傷つけることなく狭い場所に入っていけるコンパクトさが必要です。

 柔らかくコンパクトなアクチュエータの開発が、生物のように柔らかい機械のカギを握っているのです。

柔らかい機械の手足

 私たちの身の回りにある柔らかい材料といえば、まずプラスチックがあげられます。固いとしても金属の比ではありませんし、中にはとても柔らかいものもあります。プラスチックはとても大きな分子が鎖のようにつながってできているので、高分子化合物とも呼ばれます。ちなみに生物の体を作っているタンパク質も高分子の物質です。

 この柔らかい高分子がアクチュエータとして機能すれば、人にやさしい生き物のような機械を作ることができそうです。エネルギーは、なんと言っても手軽な電気に限ります。とするとその方法は絞られてきます。電気を通すと動く高分子アクチュエータを開発すればいいのです。

 さて、ここで今までの機械のイメージを一掃してください。例えば自動車工場などで組み立てを行っているマニュピュレータと呼ばれるロボット。部品をつかみ、正確に組み立てていきます。その動きは、ロボットの中に仕込まれたモーターの回転する力によって生み出されています。これが今までの機械です。

 ところが、産業技術総合研究所(産総研)で開発されたアクチュエータは、アクチュエータ自体が生き物のように動くのです。その秘密は分子レベルの駆動システムにあります。

「私たちの研究は生き物の動きを手本として、まったくあたらしい機械をつくることを目的としています。

 今はまだ、役立つようなものができていませんが、このような研究が将来、人々の生活に必要なものを作り出すと信じています」

(安積欣志雄博士)

安積欣志雄博士の写真

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