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擬態する物質?

鳥カゴを開く光?

ケージドペプチド

 生物の世界には擬態と呼ばれる不思議なしくみがあります。木の肌そっくりの羽を持つガは、木肌に擬態して鳥の目をごまかします。草むらに住む多くの昆虫は、草にそっくりな緑色の羽を持っています。中には花に化けて、蜜を吸いに来た昆虫を捕獲するカマキリなどもいます。いずれにしろ、擬態の目的は敵や獲物をあざむくことにあります。擬態は生物の戦略ですが、同じような戦略によって細胞をあざむく物質が産業技術総合研究所(産総研)で合成されました。細胞をあざむくとは一体どのようなことなのでしょうか?

 私たちの細胞には受容体(レセプター)と呼ばれるタンパク質があり、細胞外のホルモン刺激や神経刺激を細胞内に伝えています。レセプターはある決まった物質と結合して、細胞に反応を起こさせます。例えば、筋肉細胞と脂肪細胞の表面にあるレセプターは、膵臓から分泌されるインスリンと結合します。するとその細胞内に酵素活性が現れ、最終的に血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む作用を促します。このインスリンの分泌が損なわれてしまうと糖分は血液の中に残り、やがて尿中に排出されることになります。これが糖尿病です。

 このようにレセプターは必要があってある物質に反応し、生体を守っています。ところがレセプターをあざむくことによって、いろいろな可能性が開けてくるのです。そして、そのための戦略が物質の擬態です。物質本来の形にちょっとだけ細工をして、レセプターが反応できないようにしまうのです。ところで、何のためにそんな研究をしているのでしょう? 早速その物質が生まれた研究所を覗いてみましょう。

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国立研究開発法人産業技術総合研究所