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1,400グラムの神秘

遺伝子のスイッチON?

脳をつくる化学物質

 あなたは今、この文章を目で見ています。そして一つひとつの単語の意味を、“考える”というにはあまりにも短い時間で“知り”、いつの間にか単語が集まって出来た文章が表現している“意味”を、もう把握しています。なぜ、そんなことがいとも簡単に出来てしまうのでしょうか? ちなみにこの文章はコンピュータのワープロソフトを使って書かれています。もちろん文字を打ち込んでいるのは人間です。コンピュータは情報処理能力を持っていますが、自然に身についたわけではありません。それに、ごく簡単な学習能力はありますが、そこから新しい何かを生み出す能力には欠けているようです。つまり誰かが文字を打ち込んでくれなければ、文章一つ自分で作り出すことは出来ません。

 この文章を見ているあなたの目、その目のすぐ後ろには、あなたの脳が収まっています。重さは成人の男性で1,400グラムくらい。たったそれだけの重さの脳が、あなたの目から入った情報を高速で処理し、あなたに“認識”とか“理解”といった能力を与えているのです。

 一方、私たちは喜んだり悲しんだり怒ったりします。このようないろいろな感情がどこから生まれるのかは、人間にとって探求せずにはいられないテーマです。

 医学の祖と言われるギリシアのヒポクラテスは、人間の心は脳で作られると考えました。

 イタリアのレオナルド・ダ・ビンチは、脳にこそ精神があると考えました。

 今日では、その脳に対する研究の機運が世界的に高まり、少しずつ、そのベールがはがされつつあります。

 しかし、ほとんどの研究者たちが探求してきたのは脳の機能についてであり、もう一つの大きなテーマである、「脳はどのようにして出来るのか」に関しては、なかなかいい成果が出ていません。

 そんな中、産業技術総合研究所(産総研)の研究者が、大事な役割を果たす化学物質を発見しました。そしてその物質の発見こそが、「脳はどのようにして出来るのか」というナゾを解明するための、第一歩となったのです。

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