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男と女の間には・・・!?

体内フロンティアに挑む!

女は生まれつき”柔らかい”!?

図:男女の脳の活動部位

男女の脳の活動部位

 産業技術総合研究所(産総研)で行われた実験は、短いエッセイを朗読してそれを男女に聞いてもらい、左右の脳の活動を調べるというものです。

 まず最初に普通の朗読を聞いてもらって脳の活動を調べます。しかし脳は言語理解だけに対して活動するのではなく、単なる音の刺激にも反応します。その余分な反応を引くために、逆転再生した朗読も聞いてもらいます。その場合はまったく意味不明の音声になるので、言語理解とは無縁の活動が行われます。つまり、最初の活動部位から言語活動に無縁の活動部位を引けば、言語活動だけの活動部位が残るわけです。

 そして、実験の結果…、なんと男性は左脳が主に活動するのに対し、女性は左右両方の脳が同じように活動していたのです。

 一般的に左脳は情報を分析的に、右脳は全体的に処理すると言われています。さらに近年のデータによると、右脳は時間的に離れた二つの刺激を結びつける働きをするらしいことも分かってきました。女性は男性よりも話の中で離れた部分同士を結びつける能力に優れている可能性があります。

 つまり論理的な“固い”理解をする男性に対し、女性は生まれつき感覚的な“柔らかい”理解をしているのかもしれません。

男女をめぐる論争?

大脳皮質と言語野
図:大脳皮質と言語野
写真:MRI(3ステラ超高磁場磁気共鳴)装置

MRI(3ステラ超高磁場磁気共鳴)装置


 実は、昔から臨床医の間では、男女の言語障害に差があることが知られていました。例えば左脳の損傷した部位の程度が同じくらいであっても、女性患者の言語障害は男性患者に比べて軽いことがあるのです。このような臨床での経験から、男性は左脳だけで言語を処理するのに対し、女性は左右両方の脳を使っているのではないかという仮説が、20~30年前に提案されているのです。

 平成7年(1995)には、それを裏付ける研究報告がアメリカのシェイヴィッツらによって行われました。彼らは、MRI(磁気共鳴画像)によって、「2つの単語が韻(いん)を踏んでいるか」を判定するときの、男女の脳の活動部位を調べたのです。その結果、“おしゃべり”に関係するブローカ野と呼ばれる部位の活動が、男は左、女は両側だったのです。これは、「女性がおしゃべりな科学的根拠」として話題になりました。

 ところが平成11年(1999)に、この説を否定するデータが発表されました。アメリカのフロストらによる研究報告で、「単語の意味を判断する課題では、脳活動の男女差は見いだされなかった」というものです。

 しかし産総研の研究員たちは、臨床報告が正しければ、意味を理解するための言語野にも男女の差は出るはずだと考えました。

 フロストらは「単語」を使ったために、検出に失敗したのではないか? より日常に近い普通の文章を使えば、男女差が検出出来るのではないか? と。

 それが産総研での研究の出発点になり、世界初の実験が行われたのです。

河野博士の写真

「脳の解明は21世紀の最大の科学的挑戦です。心、感情、意識などの仕組みもあなたの脳が解明するかもしれません」

(河野憲二博士)


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国立研究開発法人産業技術総合研究所