本文へ

English

 

新しい目、手、新しい脳!?

目標はダメージ”ゼロ”!

緑の“見えないモノ”を見る目!?

写真:ME連携ラボインテリジェント手術室(東京女子医大)

ME連携ラボインテリジェント手術室(東京女子医大)

 さて、外科医の目をサポートする新しい目とは…。チャーミングなつぶらな瞳? 涼しい切れ長の目? あるいは刑事のような鋭い目?

 いえいえ、目といってもどこにも目らしきモノは見あたりません。そうですねえ…、形はハンバーガーの中身を取ってしまったような状態と言ったらいいのでしょうか…。つまり上下に丸いビスケット缶のようなものがあり、その間にすき間があいていて、大きさはハンバーガーの数十倍もありそうです。 その新しい目の正体は「MRI」(磁気共鳴画像)。医療診断画像の一種で、柔らかい組織や病変組織をとらえる能力に優れています。X線を使わず、原子核の「磁気共鳴現象」を利用しているので、後遺症の心配もありません。もちろん痛みもありません。

 ところでこのMRI、今までは異常部位の存在と位置を調べる検査のために使われてきましたが、その能力を手術中に利用してしまおうという研究が進んでいるのです。MRIを使えばリアルタイムで病変を見られるほか、温度計測や脳機能計測も可能という優れものなので、体のようすをいろいろな視点でチェック出来るというメリットもあります。

写真:オープンMRI

オープンMRI

 しかし、MRIは元々トンネルのようなところに体を入れて使うもので、それでは手術が出来ません。そこで「オープンMRI」が開発されました。それが冒頭のハンバーガーのような形状なのです。しかしこのMRI、いわば巨大な磁石ですから磁気の影響を受けるものは使用出来ません。鉄などは吸い付けられてしまいますし、モーターなど磁力を利用する機器は正確に動作しなくなってしまいます。従って、低侵襲手術のかなめである内視鏡や顕微鏡は、従来のものでは使うことが出来ません。また、いろいろな場所での活躍が期待されているロボットも、今まで通りの作り方では対応出来ません。

 そこで、産業技術総合研究所(産総研)では、MRIに対応した技術研究を進め、MRIと一緒に使うことの出来る治療機器技術を開発したのです。

 その応用によって開発中なのが、低侵襲手術を大きく前進させた内視鏡。この内視鏡は対物レンズ部に金属を使っていないので、MRIの強力な磁気や電磁波の中で使っても大丈夫。MRIと内視鏡の両方を使って手術が出来るので、いままでよりずっときれいに病気の部分を切り取ることが出来ます。

 現在、実験により、MRI画像にも内視鏡画像にも問題が無いレベルに達成していることが確認されています。

写真:MRI対応内視鏡写真(試作品)

MRI対応内視鏡写真(試作品)

内視鏡は狭い術野(手術をする場所)を拡大する光学器械で、細いレンズや光ファイバの束を使って体内の画像を体外へ導き、電子信号に変換する装置。 元々は、体を切開することなく体内のようすを観察するための装置で、いわゆる“胃カメラ”として知られている。しかし現在では胃だけではなく、それ以外の消化器系や、さらに呼吸器系、耳鼻咽喉科領域、泌尿器科領域、産婦人科領域のほか、整形外科領域の関節を見るものまであり、さらに検査だけではなく、簡単な患部の切除や、内視鏡画像を見ながらの手術にも使われている。

山内博士の写真

「未来には、ほとんどダメージを受けない手術が実現されるでしょう。そうなれば朝病院に行って手術したら、そのまま家に帰って夕食を家族と一緒に食べることが出来ますよ」

(山内康司博士)


前のページへ 次のページへ

▲ ページトップへ