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透視から念動力へ!?

微小物体を意のままに繰る?

超音波の「力」とは?

 そもそも超音波が持っている力とは、どんなものなのでしょうか。

 水などの流体中に放射された超音波を物でさえぎると、超音波はその物を音の進行方向に押していきます。これが音響放射圧と呼ばれる超音波の力。この力を利用すれば、物に触れることなく動かしたり変型させることができるのです。

 音響放射圧の力はごくごく弱いものですが、対象が小さなものであれば、超音波を一ヶ所に集束させることで大きな力を作用させることができるでしょう。ことに微小物体を扱うマイクロマシン分野で、非接触マイクロマニピュレーションは大きな可能性を秘めています。

音圧分布のモデル図

音源が1~3個の場合の音圧分布のモデル図


整列!

図:非接触マニピュレータの考え方

非接触マニピュレータの考え方。
粒子から不純物を取り除いて精製する。

 たとえばここにセラミックスの原料となる微粉体があるとします。しかし不純物が混じっていると、精度の高いセラミックスを焼成することはできません。微粉体から不純物の微粒子を取りのぞいて精製できれば、純度の高い原料を作り出すことができるはずです。

 そのフィルタリングに超音波を利用することができないか、あるいは超音波から作り出される定在波という音波で微粒子を動かすことができないかと考えたのが、この研究の始まりです。

 超音波は、振動子という電気的振動を発生させる装置(音源)から放射され、さえぎる物がなければ真っ直ぐに進みます。これを進行波と言います。対して定在波とは、振動子と並行となるように反射板を設置し、進行波と反射板からはね返ってきた反射波が重なり合うことで作られる音波のこと。振動子と反射板の間には音圧の変化の激しいところと安定したところが交互にでき、音圧が最も激しく変動する部分を腹、安定している部分を節と言います。

 この音の場に粒子を入れたらどうなるでしょうか。定在波は音響放射圧のために音圧の腹から節に向かう力が働くので、粒子は節に凝集することになります。

 ちなみにこの実験は水中で行われ、1.75メガヘルツという1秒間に175万回振動する非常に周波数の高い超音波を使っています。振動子と反射板の間隔は約3センチ。

 1つの波長は約0.8ミリ、半波長は約0.4ミリ。つまり節は0.4ミリごとに等間隔で並ぶことになり、粒子は超音波の「整列!」のかけ声で、一直線上に行儀よく並ぶことになるのです。

写真1

音場中に粒子を流し込むと、粒子は音圧の節に沿って層状になって流れる

図写真:定在波音場中で等間隔(0.43mm)に捕捉された粒子の写真

定在波音場中で等間隔(0.43mm)に捕捉された粒子の写真
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