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12人の偵察部隊?

「遺伝的アルゴリズム」が「偵察部隊」を進化させる!

予測誤差だけをデータにするから、圧縮できる

 パソコンを扱っている人なら、データの圧縮や伸張は日常的に行なっているでしょう。しかし、どういう仕組みで圧縮されているかを知っている人は、そう多くはないはずです。

 印刷データの場合は、「予測符号化」という原理を使ってデータを圧縮しています。

 たとえば、画像上の1点(画素)が黒だったとします。その隣の画素も黒である確率は、かなり高いはずです。そのまた隣も、かなりの確率で黒でしょう。

 このように画素を次々に予測していくと、画像が全面真っ黒でない限り、他の色との境目にぶつかります。そこで初めて予測が外れるわけです。

 予測が外れた場合に、その場所と誤差だけをデータとして記録していけば、元の画像を完全に再現することができます。予測が当たった場合のデータは必要ありませんから、予測の正解率が高ければ高いほど、記録しておくべきデータの量を大幅に少なくすることができるのです。これが、データが圧縮されるという意味です。

印刷画像の特長
図:印刷画像の特長
印刷画像は特殊なハーフトーンで、画素パターンは複雑。
非可逆圧縮と可逆圧縮
図
非可逆圧縮は、画像全体で「網点」が微妙に変化してしまうことにより、ツヤや質感、鮮やかさなどの画質が大きく劣化してしまう。

現行の国際規格をバージョンアップ

 画像データの圧縮方式として、代表的なものが「JPEG」です。圧縮率はきわめて高く、デジタルカメラやホームページの画像などに広く使われています。しかし「JPEG」は、非可逆圧縮といって、圧縮と伸張を繰り返していくうちに、画質がどんどん劣化してしまいます。

 コンピュータの画面で見るだけであったり、家庭用プリンタで印刷する程度であればさほど問題にはなりませんが、写真集やカタログなど、高品位な印刷物に使用することはできません。商用印刷の場合は、ほんの少しでもデータを損なってはいけないのです。印刷に使用するためには、圧縮と伸張を何度繰り返しても画質がまったく劣化しない圧縮方式でなければいけません。これを可逆圧縮といいます。

 印刷画像に使える圧縮方式として、現在、最も高い圧縮率を得ることができるのは、「JBIG2」という、国際規格の圧縮方式です。これは可逆圧縮を行ないますから、画質劣化の心配はありません。とはいえ、「JPEG」などの非可逆圧縮を行なう方式に比べれば、圧縮率はかなり低くなっています。

 また、「JBIG2」は、解像度の高い画像を想定していません。

 解像度は、2.54cm単位のライン上に、画素がいくつあるかで表されます。画素が多ければ多いほど、高解像度ということになります。単位は「dpi」。「600dpi」なら、600個の画素(ドット)があるということです。「JBIG2」は最大600dpiを想定して開発されましたが、現在の印刷物は高解像度になってきました。きれいなパンフレットなどは、2400dpi~3600dpiで印刷されています。「JBIG2」でこのような解像度の高いデータを圧縮すると、圧縮率は低くなってしまいます。

 産総研が開発・提案したデータ圧縮方式は、「JBIG2」の機能を拡張し、圧縮率を高めるものなのです。

卒論のテーマが『遺伝的アルゴリズム』でした」と語る、坂無博士。

「当時はかなり新しいテーマでしたから、切り拓いていく面白さがありましたね。大学院や博士課程でも、面白い、面白い、と続けているうちに、研究者になっていました」

現在は、電子製版画像フォーマットの国際標準「TIFF/IT」における圧縮方式としての採用を目指している。

坂無博士の写真

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