本文へ

English

 

究極のディスプレイ?

自分で発電しながら光る、画期的なディスプレイ!

明るいところでもよく見える、「明順応発光素子」

 まぶしい陽射しの中、携帯電話がかかってくる。液晶ディスプレイを見ると、周囲が明るすぎて、よく見えない。あるいは、日当たりのいいリビングルーム。テレビの画面にも日が当たってしまったので、カーテンを閉めなくてはならなかった。

 そんな経験はありませんか?

 産総研で開発された次世代の有機EL、「明順応発光素子」を使ったディスプレイなら、そんなことにはなりません。周囲が明るいときは、ディスプレイも明るく表示されます。まぶしい光の中でも、ディスプレイが見えにくいということはありません。

 最近の小型ディスプレイの中には、光センサーとCPUを組み合わせて、自動的に輝度(明るさ)調整をしてくれるものもありますが、「明順応発光素子」にはそんな必要はありません。

 「明順応発光素子」は、その名のとおり、周囲の明るさに順応します。これに光をあてると、あたった部分が明るさを増すのです。

波長780nmの赤色レーザーを吸収して、発光する「明順応発光素子」。

図:明順応発光素子

発光素子+太陽電池=?

 発光素子は、2種類の半導体をくっつけたものです。2つの半導体は、それぞれ、マイナスの電荷をもつ電子と、プラスの電荷をもつ正孔を、優先的に流す性質を持っています。発光素子に電気を流すと、2つの半導体の接合面で電子と正孔が衝突し、光を発します。

 有機材料でこの発光素子を作る研究は、1950年代から行なわれていましたが、1980年代後半に、イーストマンコダック(米)と九州大学が、それぞれ個別に、有機色素を積み重ねるというブレークスルーを行いました。それを契機として、世界的に研究が加速し、1990年代初頭に日本の企業から最初のディスプレイが市場に登場しました。

 2種類の半導体をくっつけたもので、さらにポピュラーなものは、太陽電池です。半導体の接合面に光があたると、電子と正孔が2つの半導体に振り分けられます。半導体に電極を取り付ければ、電気を取り出すことができます。つまり、発光素子とはまったく逆のプロセスです。

 シリコンという無機材料を使った太陽電池がもっとも普及していますが、有機材料を使った太陽電池の研究も進んでいます。

 有機材料で光(蛍光や燐光)を発することができるのはわかっていました。また、有機材料で電気を発することができるのも、わかっていました。では、2つを組み合わせてみたらどうなるでしょうか?

 発光素子と太陽電池を組み合わせた、世界ではじめてのデバイスこそが、産総研の「明順応発光素子」なのです。

 「明順応発光素子」に光があたるとその部分が明るくなるのは、光があたった部分で電気が発生し、発光する部分に流れるからです。

図:発光素子

発光素子は、電気を流すと、2つの半導体の接合面で光が発生する。

図:太陽電池

太陽電池は、光をあてると、2つの半導体の接合面で電気が発生する。


八瀬博士の写真

「明順応発光素子は、まわりの光を有効に利用して光るものですが、これは人間にも言えることです」と語る八瀬博士。

「私もまわりの若い人たちのエネルギーを吸収して光っています!」


前のページへ 次のページへ

▲ ページトップへ

国立研究開発法人産業技術総合研究所