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ミクロのトンネル発見!?

発見から応用へ・・・

着眼点の勝利

飯島澄男博士の写真

センター長 飯島澄男博士

 電子顕微鏡下で発見された小さなトンネルは、後に「カーボンナノチューブ」と名付けられました。“カーボン”は炭素、“ナノ”はミリの百万分の1、“チューブ”は文字通りチューブ。

 この小さな小さな炭素でできたトンネル、「カーボンナノチューブ」を発見したのが飯島澄男さんという研究者。

 ところでカーボンナノチューブが発見されるまで、研究者の大半は飯島さんと同じように電子顕微鏡をのぞいてフラーレンの研究をしていたのですが、その中でカーボンナノチューブを発見したのは飯島さん唯一人。

 フラーレンはアーク放電チャンバーという装置に炭素棒を入れ、放電することによって炭素棒に付着する“すす”の中で発見されました。

 研究者の大半はフラーレンが多く含まれる炭素棒の陽極に付着した“すす”にばかり気を取られていました。しかし、飯島さんは炭素棒の陰極に付着した“すす”についても調べていたのです。

 そしてその結果が、カーボンナノチューブの発見につながったわけです。

 ほかの人が目をつけない場所に目をつける、つまり独自の着眼点こそが、飯島さんをカーボンナノチューブのパイオニアへと導いたのです。

多層カーボンナノチューブの構造模式
図:多層カーボンナノチューブの構造模式1
図:多層カーボンナノチューブの構造模式2

新たな出発

 一方、飯島さんが電子顕微鏡でフラーレンを見ている頃、やはりフラーレンに夢中になっている研究者グループが、実は飯島さんがいた研究所のすぐ近くにもいました。彼らの研究目的は、実用化するために低コストでフラーレンを生成する技術を開発することでした。しかし、なにしろ世界の研究者が同じような目的をもって毎日研究しているのですから、その中でトップを切って新しい成果を得ることは至難の業です。

 そんなとき、その研究所にビッグニュースがもたらされました。それはフラーレンに続く5番目の炭素材料の発見。つまり「カーボンナノチューブ」発見のニュースでした。しかもその発見者は、飯島澄男さんという彼らと同じ日本人だったのです。研究者たちは色めき立ちました。フラーレンに関しては研究がかなり進んでいましたが、その新しい物質は未知の世界の中にまだ置かれたままでした。

 研究者グループの研究テーマは、新しく発見された“ミクロのトンネル”へシフトされました。そしてその研究目的はフラーレン同様、産業への応用でした。

 その研究者グループが所属するのが産業技術総合研究所(産総研)。研究グループのリーダーである湯村守雄さんを中心に、今日までにカーボンナノチューブに関するいろいろな成果を発表してきました。

 カーボンナノチューブ発見者である飯島さんが、その産総研の新炭素系材料開発センターのセンター長に着任したのは平成13年(2001)4月のことで、カーボンナノチューブのパイオニアとそのカーボンナノチューブの産業応用を目指すグループによる、新たな研究グループが産総研に誕生したわけです。

 今日では大量合成法の確立などにより、世界中でカーボンナノチューブの応用技術研究が盛んに行われるようになっています。

湯村守雄博士の写真

「カーボンナノチューブは、飯島澄男博士によって発見された、無数の応用が考えられる、地球上で最も多能な素材です。

(1)ファイバーとしては最強、
(2)電気の伝えやすさは銅より高い、
(3)熱の伝えやすさはダイヤモンドを上回る、
(4)高熱に耐えてアルミニウムよりはるかに軽い等、優れた性質をもっています。

このカーボンナノチューブを、日本の産業界で広く役立つ材料にし、世界をリードする製品の創出を手伝うべく、私たちは、日夜、研究に励んでいます」

(湯村守雄博士)


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