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身近な危険をキャッチ?

小さくても頼りがいあり!

水素エネルギー社会がやってくる!

図:熱電材料膜の温度の変化

熱電材料膜の温度の変化

 2002年、燃料電池自動車が一般に売り出されました。燃料電池は水素から電気を作り出すので、原料は無尽蔵、燃焼させても水しか出ないという理想的なエネルギーです。そのため、10年後には5台に1台が燃料電池自動車になるという予測が出ています。

 また、今後は一般家庭に燃料電池発電装置が普及すると見込まれています。燃料電池発電装置は、ガスメーカーから供給されたガスを電気に変えます。現在の家庭用電気は、発電所から各家庭へ配電される途中、送電線で電気のロスが生じます。それが減るため、燃料電池発電装置は省エネルギー効果も期待されているのです。

 このように水素エネルギーはいいことずくめのようですが、現在、燃料電池自動車は海底トンネルを走れません。というのも、水素ガスは空気中濃度が4パーセント以上になると爆発する危険性が高いため。水素は無色無臭のため、漏れているのに気付かずに爆発…というのは怖いですよね。

 家庭用燃料電池発電装置は現在、国家資格を持った人がいないと取り付けられないことになっています。でも水素エネルギー社会を目指しているのに、家に1人、国家資格者が必要なんて、現実的ではありません。そのため2004年度末、燃料電池の一般への普及を目標に、水素の取扱いの規制緩和をする動きがあります。

熱電式水素センサの仕組み
図:熱電式水素センサの仕組み
写真:水素センサのサンプル

水素センサのサンプル
白金触媒の上には常に酸素が吸着している。そこへ水素が来ると、水素(H2)と酸素(O2)が結合して水(H2O)になると同時に、熱が出る。白金が触媒の役目を果たすため、温度が低くても作用して(約60度から180度)、熱の温度差が電圧に変わる。


「水素安全」を確保する水素センサ

 ただし水素をいかに安全に扱うかという「水素安全」の確保は絶対に必要です。その水素安全に関わる技術の中で、水素の漏れをキャッチする「水素センサ」の開発は重要な要素となっています。

 産総研では、熱電材料と白金触媒を用いた水素センサの開発に成功。水素ガスは白金に触れると、触媒反応という発熱反応を起こすため、下の熱電材料膜に発熱した部分と、していない部分との温度差が発生します。その温度差(温度勾配)を電圧に変えて、電極から信号を取り出すという仕組みです。

 この水素センサにより、0.025~10パーセントの濃度の水素ガスの検知が可能になりました。現在の水素センサの大きさは2×1センチ。今後はマイクロセンサという1ミリ角ほどの超小型のセンサの開発を目指しています。

 水素エネルギーの普及は、国を挙げて取り組んでいる事業です。現在、産総研ではNEDOの水素安全利用等基盤技術開発プロジェクトに参画し、水素センサの実用化に向けた研究を進めています。

「子供たちが大人になる20年先も、安心して暮らせる社会であってほしいという気持ちで、研究に取り組んでいます」(村山宣光博士)

写真:研究者の皆さん
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