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微細加工技術の革命!?

産業を変える直径サブミクロンの粒?

ナノとマクロを結ぶ

 ナノというのは長さの単位で、1ミリメートルの100万分の1が1ナノメートルに当たります。これは分子レベルのスケールで、ナノを冠したナノテクノロジー(ナノテク)は分子レベルのテクノロジーということになります。

 現在ナノテクはIT、バイオとともに注目される分野であり、中でもナノテクは1分野というより、すべてのテクノロジーを支える横断的分野に位置づけられています。つまり、ナノテクはすべての産業技術を発展させる可能性を秘めているのです。そのため世界の先進国では盛んにナノテクの研究開発が進められています。例えば、ナノテクによって作られた微細なデバイスを使えば、手のひらサイズのwータができるかもしれません。また人間の体内に入り込んで、患部だけを治癒するミクロのロボットもできるかもしれません。

 ナノテクは、人類がいまだかつて知らなかった世界をもたらすことでしょう。しかしナノテクの研究開発はまだ始まったばかりで、世界中で基礎的な研究を競い合っているのが現状です。とは言え、技術は人類のために活用されるようにならなければ意味がありません。ナノテクをいかにマクロの世界に結びつけるか。つまり、ナノの世界の技術を私たちが暮らすマクロの世界でいかに活用できるようにするかが今後の大きな課題と言えます。そして、その課題をクリアする技術の一つとして注目を集めているのが、冒頭で紹介した超微細インクジェット技術なのです。

家庭用インクジェットとの違い

 インクジェットとは、今もっとも普及している家庭用に開発されたプリンターの形式で、年賀状や写真をインクジェットプリンターで出力している人も多いのではないでしょうか。

 では、なぜ私たちの暮らしの中に普及しているインクジェット技術が未来の技術へとつながるのでしょうか。その秘密はインクジェット技術そのものの特徴にあります。

 インクジェットとはインクを細いノズルの先からジェットのように勢いよく噴き出させる技術で、その特徴は必要な場所に必要な量だけ目的物質を塗布できることにあります。ところが必要な量といっても今までの技術は既に限界まで来ていました。微細な量の物質を噴出させることは、理論的には可能であっても実際には至難の業なのです。

 事実、各機器メーカーも挑戦しては失敗を繰り返していました。そんな折に世界に先駆けてその技術を開発・発表したのが産総研でした。そして、その画期的な技術の中身とは…。

 実は現在この技術に関して特許出願中で、その内容について公にできる段階ではありませんが、超微細インクジェット技術は、まさに生まれたばかりのホットな先端技術と言えるでしょう。

 ※本取材が行われたのは平成14年11月26日です

マイクロ文字の写真ドットの写真

超微細インクジェットで書いたマイクロ文字とドット。点の最小間隔は3µm、1文字は約15µm。写真ではドット間隔や直線性に乱れがあるが、それは装置に使われているステージの機械的な誤差によるものと考えられる。

光学顕微鏡写真

ナノペーストのポリイミド基板上への印字例の光学顕微鏡写真。線幅1.4µm、線間隔3.6µm


「展示会で多くの方に興味を持ってもらい、おまけにナノテクノロジー大賞超微細加工技術部門賞を受賞するなど、高く評価していただいて感激しています。

 それまで、一人きりで実験室の片隅で細々やっていて、数年間、学会発表や論文発表などから遠ざかっていましたが、ようやくトンネルの出口が見えてきたところです。自分の研究が、世の中の人の役に立つかもしれないと思うと、充実感を感じます」

(村田和広博士)

村田和広博士の写真

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