本文へ

English

 

36億年目の出会い!?

世界初の完全分解!

プラスチックって何?

分子同士のイメージ図

 そもそもプラスチックとはどのようなものなのでしょうか? 英語の辞書でプラスチック(plastic)を引くと、“形成する”、“どんな形にもなる”、“柔軟な”といった意味のほかに、“合成樹脂”という言葉が出てきます。この合成樹脂が、私たちが普段使っているプラスチックのことです。

 合成樹脂に対して天然樹脂という言葉があります。樹脂とは「樹(き)の脂(あぶら)」のことで、日本人には馴染み深い“漆(うるし)”はその一つです。漆を採取したときはどろどろな液体ですが、放置しておくと固まって安定した物質に変化します。

 天然樹脂はいわばプラスチックの先祖に当たります。そして、人工的に作り出した天然樹脂の特性を持つ物質、すなわち合成樹脂を今ではプラスチックと呼んでいます。

 プラスチックには、加熱すると化学変化を起こして固まる「熱硬化性プラスチック」と、加熱すると溶ける「熱可塑性プラスチック」があります。このうち私たちが普段目にしているプラスチックの大半は、「熱可塑性プラスチック」です。

 では、なぜ加熱すると溶けて、冷やすと固まるのでしょうか? 実は、その秘密はプラスチックの分子構造と、分子の大きさにあります。プラスチックは原子が鎖のようにつながった分子構造をしています。しかも分子そのものがとても大きいのです(高分子と言います)。長い鎖のような分子がからまりあっているので分離することはとても困難です。しかも分子が大きいので、分子同士が引き合う力も特に大きくなっているのです。

 ところが、熱を加えると分子の運動が激しくなり、分子同士が引き合う力が弱くなって最後にはバラバラになってしまいます。

 このように、常温ではとても安定したプラスチックですから、微生物も歯が立たないのです。

世界初の研究

 さて、再び研究者の話に戻しましょう。その研究者とは産業技術総合研究所(産総研)の常盤豊さんです。

 プラスチックを分解する微生物探しをあきらめた常盤さんは、多くの研究者がこの分野から去っていく中、生分解性プラスチックの研究に着手しました。

 まず、既存の生分解性プラスチックが微生物によってどのように分解されていくのかを確かめてみることにしました。1974年、脂肪族ポリエステルを分解する微生物を自然界から分離し、分解機構の解明に挑戦したのです。その結果、脂肪族ポリエステルのあるものは、分解菌が作り出すリパーゼという物質によって分解されることが分かりました。

 この研究により、生分解性プラスチックが完全分解できることを、産総研は世界に先駆けて証明しました。

 さらに1977年には、いろいろな微生物の作り出すリパーゼやエステラーゼという物質が、高分子である脂肪族ポリエステルや脂環ポリエステルを分解することを明らかにしました。この研究成果はイギリスの科学論文誌「ネイチャー」に発表され、以後、脂肪族ポリエステルの研究が世界中で盛んに行われるようになりました。

代表的な生分解性プラスチック

図:代表的な生分解性プラスチック

「生分解性プラスチックは、紙や木材と同じように、土の中の微生物で分解され自然界の物質循環に組み込まれます。

 今後は、砂糖やデンプンなどの植物原料から作られる生分解性プラスチックが多くなるでしょう」

(常盤豊博士)

常磐豊博士の写真

前のページへ 次のページへ

▲ ページトップへ