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酸性雨をつくる街!?

光と水があればOK!

光合成作用との関係?

図:光合成

 みなさん、光合成作用は学校で習いましたよね? えっ、なんとなく覚えている? ここは肝心なところなので、ちゃんと復習しておきましょう。

 光合成というのは植物の葉に太陽光が当たり、二酸化炭素と水が反応してデンプンと酸素になる反応です。でも、二酸化炭素と水を混ぜて太陽光を当ててもこの反応は起こりません。思い出しましたか?ここで何かが必要なのです。そう、葉緑体です。葉緑体が太陽の光を吸収することにより、初めてデンプンと酸素が作られるのです。ところがこのとき、葉緑体だけは反応の前後でまったく変化しないのです。つまり葉緑体は「それ自体反応の前後で変化しないが、反応を促進するもの」であり、このような物質は「触媒」と呼ばれます。

 さらに「光触媒」とは、「それ自体反応の前後で変化しないが、光を吸収することで反応を促進するもの」なのです。だから葉緑体も光触媒なのです。

 さあ、これで光触媒がだいぶ身近になってきたのではありませんか?


図:光触媒の働き

光触媒の働き

二酸化チタンに紫外線が当たると、二酸化チタン内部の電子が自由になり、大気中の酸素や水分と結びついて、表面に活性酸素が出来ます。この活性酸素が窒素酸化物などの大気汚染物質を酸化し、低濃度の硝酸や硫酸に変えてしまうのです。

大気を浄化する葉緑体!?

 葉緑体は光の力を借りて、二酸化炭素と水からデンプンと酸素を作り出します。同じような働きで、大気中の汚染物質、特に近年社会問題となっている窒素酸化物(NOx)を毒性の少ない物質に変化させることが出来れば、大気は自然に浄化されていくはずです。

 産業技術総合研究所(産総研)では大気中の化学反応に固体粒子がどのような影響を及ぼすかを調べているうちに、ある種の固体粉末が窒素酸化物(NOxや二酸化硫黄(SO2)を大気から取り除く働きがあることを発見しました。そのような物質は現在「半導体光触媒」と呼ばれており、その代表が二酸化チタン(TiO2)です。

 日本はいまだ大都市地域を中心に、大気中の窒素酸化物の環境基準をクリア出来ていません。窒素酸化物を人工のエネルギーや人の力で除去しようとしたら大変な費用がかかりますし、エネルギー危機を加速させることになりかねません。

 二酸化チタンは白いペンキや白色顔料などの材料としてごく普通に使われている、安全でありふれた物質です(このような用途では、光触媒作用をおさえる工夫がしてあります)。もちろん他にも光触媒となる物質はあるのですが、触媒作用の強さ、化学的な安定性、安全性、価格などを考えると、現時点では二酸化チタンを越えるものはないのです。ちなみにゴルフクラブなどに使われているチタンは金属チタンで、二酸化チタンはそのサビのようなもの。金属チタンは高価ですが、二酸化チタンは天然の鉱石から大量に作られているので安価なのです。

 産総研での研究は、その二酸化チタンを大気の浄化に使えるのでは、というひらめきから始まりました。

「実験室にいるときは分からなかったのですが、この仕事で現場に出ることが多くなり、汚染された大気環境を絶対になんとかしなければならないという気持ちになりました。

 こんなことが出来たらいいな、という夢を見ることが大切だと思います」

(竹内浩士博士)

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