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地球を救う光合成!?

植物は地球最大の化学工場!?

夢のエネルギー

図:エネルギー

 次世代エネルギーとして大きな期待がかけられている水素は、二次エネルギーに分類されます。一次エネルギーとは、石油、石炭などの化石燃料、ウランなどの原子力燃料、水力、風力などの自然エネルギーなど、自然から直接得ることができるエネルギーを言い、二次エネルギーとは一次エネルギーを加工したり転換したりして得られるエネルギーを言います。

 二次エネルギーの水素が注目される理由は、まず水素を作るための資源が無尽蔵であること、それからクリーンであること、そして貯蔵や利用がしやすいという点にあります。ですから、水素は人類究極のエネルギーと言われています。

 なぜ、資源が無尽蔵か。それは水が資源だからです。水は地球を循環していつも一定の量が地球内に保存されています。使っても使っても、また循環するのです。従って、水から水素を取り出す研究は世界中で行われてきました。とすれば水の電気分解で取り出せば良いのにと思った人もいるのではないでしょうか。

 確かに電気分解で水素は取り出せます。しかし、そもそも電気エネルギーを使うわけですから、とても採算が合いません。

 究極のエネルギーである水素の効率的な作り方。それは次世代エネルギーに関わる研究者の夢なのです。


太陽エネルギーを貯蔵する

 エネルギー問題を解決するには、無尽蔵なエネルギーを活用するのが一番です。現在考えられる無尽蔵なエネルギーとは、太陽エネルギー。今までも太陽電池や風力エネルギー(このような自然エネルギーも、太陽のエネルギーによって起きる現象を利用しています)など、太陽利用エネルギーは使われてきました。しかし十分なエネルギー確保の基盤とはなり得ていません。

 太陽エネルギーを、効率良くほかのエネルギーに変換して貯蔵する方法の開発は、水素の効率的な作り方同様、研究者の大きな夢なのです。ですから、太陽エネルギーを利用して効率良く水素をつくりだせれば、それこそ究極のエネルギー生産システムとなります。そして、そのヒントが植物の光合成に隠されていたのです。

光合成とは?

図:光合成

 光合成は、小学校の理科で初めて習います。小学校では光合成は「水と二酸化炭素を材料とし、葉緑体が光を受けてデンプンと酸素をつくりだす働き」という程度のことしか教わりません。なんとなく納得してしまった方も多いと思いますが、水と二酸化炭素が光を受けるとなぜデンプンと酸素になるのか不思議だとは思いませんか?それに葉緑体が光を受ける意味はどこにあるのでしょうか?

 では、光合成について、もう一度くわしく見ていくことにしましょう。

 葉緑体の中には葉緑素と呼ばれる緑色の物質があります(葉が緑色なのは、この物質の色なのです)。光が葉緑素に当たると、そこから自由電子が飛び出します。

 つまり、光エネルギーが電気エネルギーに変換されたのです。

 さて、葉緑素(この葉緑素は波長680ナノメートルの可視光に反応します)から飛び出したエネルギーの高い電子はさまざまな物質の間を動き回り、水を分解し酸素を生じさせます。その後、高エネルギーの電子はさまざまな物質の橋渡しにより別の場所に移動していきます。そして目的地に着いたときには電子のエネルギーは低くなっているのですが、ここで再び葉緑素(この葉緑素は波長700ナノメートルの可視光に反応します)が光のエネルギーを受け、電子が飛び出します。このとき、移動してきた電子のエネルギーによってパワーが増幅されます。つまり、太陽光のエネルギーを2段階に分けて受け取ることにより、エネルギーを増幅させるのです。

 この増幅されたエネルギーによってNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)と呼ばれる物質が合成されます。ここまでが光合成の明反応と呼ばれる部分です。

 一方、暗くなるとNADPHが大気中から吸収した二酸化炭素を、炭水化物(糖分)として閉じこめます。これが植物が自分のために作り出す養分です。これが、光合成のうち暗反応と呼ばれる部分です。

 このうち明反応に着目し、効率よく夢の次世代エネルギー水素を作りだすことに成功したのが、産業技術総合研究所(産総研)の研究者なのです。


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