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時を止めたドライフラワーづくり

監修:三田直樹・岡崎智鶴子(産業技術総合研究所)

はじめに

-時を止めたドライフラワーづくり-

 たしか1998年の夏休みの光景だったと思います。デパートの文化講座で押し花カードを作っていた子供が先生に、「あの花瓶に生けてある花を、このカードに使ってよいですか?」と質問しました。先生は「あれは生の花だから、そのままでは使えないよ。5日ぐらいたたないと押し花にならないから、今回はあきらめてね」と答えましたが、子供は駄々をこねてしまいました。付き添っていたお母さんが「無理なのよ」と説得して、ようやく子供は諦めました。

 偶然、そこを通りがかった私(「時を止めた乾燥法」の発明者の一人)は、「かわいそうだなあ。生の花を目の前ですぐに押し花にできたらよいのになあ」と思いましたが、「乾燥に日数がかかり、色や香りも悪くなってしまうのが常識」だったので、何も言えずにその場を去りました。

 ところが、まもなく私は不思議な夢を見ました。宙に浮いた教科書が現れて、大きく開いたページを私が熱心に読んでいます。そこには「夢のような、ドライフラワーづくり」が出ていました。私は目が覚めてからも夢の内容を覚えていたので、早速、試してみました。あっけないほど簡単に、1分ぐらいでドライフラワーが出来てしまったのです。こうして「時間を止めたように、生きたままの色を保存がOK」な新しい乾燥法(OK乾燥法)が誕生しました。

 ラベンダーが奇麗な「紫色の花」と「緑色の葉や茎」のままで、そして香しい匂いのままで、室温で明るい場所でも長期に保存できました。そして、今まで「どんな保存法でも変質する」と言われた植物(例えば、アオキの葉やベゴニアの花)が、奇麗なまま長期に保存できたのには驚きました。特に従来の乾燥法では乾燥中に白い花は、色が抜けたうえに黄色っぽくなるのですが、OK乾燥法では白いままですよ。

 このように、今までの常識を覆したとも言える「時を止めた、夢の新乾燥技術」は、「子供の夢をかなえてやれるといいな」と願っていたら、夢の中に現われたのでした。そういえば、中間子理論で有名なノーベル物理学賞の湯川秀樹博士も、ベンゼンという有機化合物の構造を決めたことで有名なケキュレも、夢がヒントだったという話ですから、人間って不思議ですよね。

 では、これから産総研が皆さんに捧げる「時を止めたドライフラワーづくり」を楽しく体験して、「不思議で素晴らしい生命を大切に」しましょうね。

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