つくって学ぼう
2020年7月掲載
作:増田善雄
あついおみそ汁を見ていると、みそがうずまいているのがわかります。
おわんの中で何がおこっているんだろう?
もちろん、おみそ汁ではないでしょうが、「うず」については、古代ギリシアの哲学者アリストテレスも観察していたという記録が残っているそうです。
ここでいきなりですが、クイズです。どうしたらうずができるのでしょうか?
正解は、この後の「うずをつくってみよう!」で一緒に確かめてみよう。
ここでは、一般的なおみそ汁の作り方を紹介します。
おなべにお水を入れて、火にかけます。(写真は300mlのお水です。具材があるときはここで入れます。)
水が沸騰したら(具材があるときは具材に火が通ったら)、いったん火を止め、みそを溶きながら入れます。(量はお湯の1割程度。写真では30gくらい)
みそを入れたらもう一度火を入れて、沸騰する直前で火を止めます。
おたまでおわんによそって完成です。おわんの中をじっくり観察してみると、「うず」ができてます!
さて、みんなのおわんの中にも「うず」ができたかな?
つぎは、この「うず」がどうしてできるかを考えてみるよ!
熱いおみそ汁に「うず」ができたけど、それはなぜなんだろう。秘密はあつあつのおみそ汁と空気の温度の違いにありそうだ!
おみそ汁は熱くって、それに比べて外の空気は冷たい。すると、おみそ汁は表面から冷めていきます。
暖房などで大人の人が「足元が冷えるなぁ」なんてことを言っているのを聞いたことないかな。実は物質は温かいと軽くなり、冷たいと重くなる性質があるんだ。
つまり、おわんの底のほうのまだ冷やされていないみそ汁は軽いので上へ、表面の空気で冷やされたおみそ汁は重いので下へ流れていきます。
あれ?おわんの中に向きの違う二つの流れができましたね。
どうやらこの向きの違う二つの流れが「うず」の秘密なようです。もう少し考えてみよう。
おわんの中に向きが違う二つの流れができました。
ここで再びクイズです。この向きが違う流れはこのあとどうなるのでしょうか。
正解発表にいく前に、もうひとつクイズをやってみましょう。
さっきは、流れがどうなるのかを考えてもらいましたが、今度は、うずの模様について考えてみよう。
流れの向きがちがうときに、どんな模様ができるでしょうか?上から見たらどんな模様?おわんで見えないけど、横から見ることができたらどんな模様?
見えないのに横からの模様を考えるのは難しいよね。ちなみに、温度の違いによる流れを「対流」というんだけど、この「対流」はコンピュータで特別な計算をすることでシミュレーションできるんだ。
でも、答えを教わるんじゃなくて、考えることはとても大切なことです。わからないことを一生懸命考えてアイデアをまとめるのは研究だけじゃなくて、いろいろなことに役立つよ。
というわけで、いっぱい考えてくれたキミは答えを見にいこう!
いよいよクイズの正解発表です。みんなよーく考えたてくれたかな?
どうしたら「うず」ができるでしょうか?の答えは
下の方を温かくすると液体が軽くなって上の方に動く事によって「うず」が見られるんだね。
えっ?2つとも答え?そうです。表面から冷やしても下のほうが温(あたた)かい状態を作れるので、冷やすのも正解です。
つづいて、クイズ2の正解発表です。
向きが違う流れは、このあとどうなるでしょうか?の答えは
下の図はコンピュータシミュレーションで動きを追ったものです。温度の違いのグラデーションでリボンのような形をしたところがたくさんあります。
ここで流れがUターンをしながら「対流」が起こっています。
何でコンピュータシミュレーションがこういう動きになるんだろう。「対流」について自分で調べられる子は調べてみよう。小さい子は大人の人と一緒に調べてみよう。
つづいて、クイズ3の正解発表です。
流れの向きが違うとき、どんな模様ができるでしょうか?上から見たら?横から見たら?
クイズ1で気づいた子もいたかもしれませんが、正解がひとつとは限りません。1.2.3.全部正解でした!「流れ」はとても複雑で、条件によっていろいろな形もとるのです。
おみそ汁をつくって観察してみましたが、最後に材料を変えて「うず」を作ってみましょう。その時、どんな形の「うず」ができるかな?
※油を使うので必ず大人といっしょにやりましょう。
作り方はおみそ汁と一緒です。出来上がりはこんな感じになるよ。何だか油のなかで粒がたくさんできるよ。
これをコンピュータで計算して温度の分布を見ると、「うず」の形に添って温かい粒の輪と冷たい粒の輪で分かれていて、内側は迷路のようになっているよ。
どうしてこんなことが起きるのだろう。この理由も考えてみよう。そして、調べてみよう。