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つくって学ぼう

プラスチックの見分け方

監修:牛島 洋史

プラスチックの実験の写真

はじめに

私たちの身の回りには「プラスチック」と呼ばれる材料でできたさまざまな製品があります。

硬いものや柔らかいもの、透明なものや色が着いたもの。それらは、すべて同じ「プラスチック」からできているのでしょうか?

今回はそういった「プラスチック」の見分け方と、「リサイクルマーク」について、実験と学習をしてみましょう。

実験してみよう

身近なプラスチック製品を集めてみました

身近なプラスチック製品の写真

ペットボトルと荷造りバンド、フィルムケース、クリアホルダーを、実験がしやすいように、同じ大きさに切ってみました。

水に入れてみる

コップにプラスチックを入れる写真

まず、ガラスのコップ(ここではビーカーを使いましたが、中が見えれば、ビーカーを使う必要はありません)に水を入れて、その中に、さきほど切った、プラスチックを静かに入れてみます。

コップにプラスチックを入れる写真

沈んでしまうものと、浮かぶものがありますね。

これは、重さのちがいではなく、比重のちがいが原因なんです。沈んでしまったものは、同じ体積の水よりも重たいのです。浮いたものは、その逆ですね。

ここでは、ペットボトルとクリアホルダーが沈んで、荷造りバンドとフィルムケースが浮きました。

熱湯に入れてみる

写真はありませんが、次は熱湯を使った実験です。

プラスチックを熱めのお湯に浸けて、温める前と後で、その硬さがどう変わるか観察してください。元々柔らかかったものでも、より柔らかくなりますが、その柔らかくなる度合いが、大きなものと小さなものがあります。火傷をしないように、注意して実験してみて下さいね。

始めは硬かった荷造りバンドやフィルムケースがお湯に浸けるとかなり柔らかくなったのに対して、ペットボトルとクリアホルダーは、お湯に浸ける前と後で、その硬さに大きな変化はありませんでした。

炎の中に入れてみる

次は、それぞれのプラスチックを炎の中に入れてみます。

注意!
プラスチックは燃えやすいので、実験するときには、周りに燃えやすいものがないように気を付けて、水を入れた洗面器やボウルを用意するなど、十分注意して下さい。ここではアルコールランプを使いましたが、ガスやレンジなどは危険ですので使わないようにして下さい。

ペットボトルを炎にいれたときの写真

まずはペットボトル。黒い煙が出ているのがわかりますか?

クリアフォルダーを炎にいれたときの写真

クリアホルダーはどうでしょう。オレンジ色の炎をあげて、勢いよく燃えました。

荷造りバンドを炎にいれたときの写真
フィルムケースを炎にいれたときの写真

荷造りバンドとフィルムケースは、炎のなかで柔らかくなった部分が透明になって燃えています。

科学マジック

ではここで、ちょっとした科学マジックをご覧にいれましょう。

ペットボトルを炎にいれたときの写真

アルコールランプの炎の中に銅線を入れます。銅は金属ですから、アルコールランプの炎では燃えません。

銅線が十分に熱せられたところに、ペット・ボトルを入れてみます。

銅線がないときと燃え方に違いはありません。

ペットボトルを炎にいれたときの写真

次に、クリアホルダーで試してみます。

炎の色が緑色になりました!

同じように透明で、水に沈むプラスチックでも、ペットボトルとクリアホルダーは違ったプラスチックでできていることがわかりますね

実験の結果

ここまでの実験の結果をまとめてみましょう。

水に浮くか? 熱湯で柔らかくなるか? 燃え方 (銅線入り)
ペットボトル 沈んだ 少ししか柔らかくならなかった 黒いスス 変化なし
荷造りバンド 浮いた かなり柔らかくなった 透明になって燃えた 変化なし
フィルムケース 浮いた かなり柔らかくなった 透明になって燃えた 変化なし
クリアホルダー 沈んだ 少ししか柔らかくならなかった よく燃えた 緑色の炎

この表をみると、荷造りバンドとフィルムケースは同じプラスチックからできていると予想できますね。ペットボトルとクリアホルダーは、それぞれ別のプラスチックからできていることも予想できます。

では正解です。荷造りバンドとフィルムケースは「高密度ポリエチレン」と呼ばれるプラスチックでつくられています。ペットボトルは「PET(ペット)樹脂」、クリアホルダーは「ポリ塩化ビニル」というプラスチックでつくられたものだったんです。ペットボトルの「ペット」と言うのは、犬や猫の「ペット」ではなく、「ポリエチレンテレフタレート」というプラスチックの頭文字だったんです。

調べてみよう

次の言葉の意味を調べてみましょう。プラスチックのことが、もっとよく理解できます。ちょっと難しいかな?

  • ポリマー … プラスチックが「ポリ○○○」というのはなぜか?
  • 合成繊維と合成樹脂
  • タンパク質と高分子

みなさんは、こんなマークを見たことはありませんか?

リサイクルマーク(缶) リサイクルマーク(紙とプラスチック)

その製品がどんな材料でつくられているかを示した、リサイクルマークなんです。

その中でも特に、三角形の矢印で囲まれた1から7までの数字は「SPIコード」と言って、プラスチックのゴミを効率的に分別するために定められた、材料を区分するためのコードシステムなんです。

プラスチックのリサイクルマーク1 プラスチックのリサイクルマーク2 プラスチックのリサイクルマーク3 プラスチックのリサイクルマーク4 プラスチックのリサイクルマーク5 プラスチックのリサイクルマーク6 プラスチックのリサイクルマーク7
  1. は、ポリエチレンテレフタレートで、ペットボトルなんかに付いています。
  2. は、高密度ポリエチレンで、フィルムケース以外に、ポリバケツなんかもこれです。
  3. は、ポリ塩化ビニルで、ビニールホース等、身近なところにたくさんあります。
  4. は、低密度ポリエチレンで、スーパーの半透明の小袋とか、比較的柔らかいものに使われています。
  5. は、ポリプロピレンで、弁当箱やストロー等にこれでできたものが多くあります。
  6. は、ポリスチレンで、食品のトレーや「発泡スチロール」がこの材料でできています。
  7. は、1から6以外の材料か、それらが混ざったものに付けられています。

プラスチックは身の回りの様々なところで、色々な用途に使われています。と言うことは、色々な性質を持った、様々なプラスチックがあるということなんです。そのため、それらを全部まとめて「プラスチックゴミ」とすると、処理の仕方の違うものが混ざり、リサイクルがしにくくなります。それに対して、材料毎に分別して収集すれば、リサイクルの手間や費用も少なくて済み、処理もしやすくなるんです。

まだ、これほど細かく分別をしているところは少ないでしょうが、プラスチックのほとんどが石油からつくられていること、プラスチックは人工のものなので、そのままでは自然に還らず、環境によくない等の理由から、近い将来、もっともっと積極的にリサイクルをしなくてはならなくなります。そのためにも、今のうちから、リサイクルマークをよく見て、きちんと分別ができるように心がけておいてくださいね。

もっと調べてみよう

  • 最近、ポリ塩化ビニルがあまり使われなくなってきています。それはどうしてなのでしょう?
  • 石油が原料ではない、植物を原料としたプラスチックってあるの?
  • 土の中で、自然に分解する「生分解性プラスチック」ってなんだろう?