Vol.7 No.3 2014
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研究論文:内部熱交換式蒸留塔(HIDiC)の技術開発(片岡ほか)−178−Synthesiology Vol.7 No.3(2014)議論5 発酵技術との相互補完質問・コメント4(景山 晃)2.6に糖化・発酵グループとの交渉について触れてあります。図3を蒸留プロセス側から提案して糖化・発酵グループと議論するという解決策も素晴らしい発想力の現れと思います。議論の結果、プロジェクトチーム全体で納得して課題解決に進んだことを含めて、異なる技術領域の研究者が相互理解の上に共通課題の突破に邁進することは、イノベーションの引き金となる新しい技術システムを生み出す際に極めて重要と思いますので、もう少し詳しく述べて下さい。また、糖化・発酵グループ側の研究で目標とした5 wt%に到達したかどうかは、CF-HIDiC技術と相まってプロジェクト全体の成果に係わる重要な情報となり、40円/Lという目標に対する達成度を読者に伝えるために重要な情報と思いますので、発酵モロミ液中のエタノール濃度が何wt%まで向上したのかを簡潔に記載していただくようお願いします。回答(片岡 邦夫)バイオプロセスチームは遺伝子操作をしたり、細胞表層提示技術を活用して、効率のよい収率の高い糖化・発酵技術を開発するべく大変な努力をしていましたが、セルロース原料ではなかなか難しく、その時点で報告されていた発酵到達濃度はせいぜい2 wt%程度でした。本プロジェクトに課せられた第一目標(製造コスト)は40¥/L-EtOHでした。これを達成するために各サブプロセスに振り分けられた消費エネルギーの目標値の中で蒸留濃縮プロセスに与えられた目標値は、標準型HIDiCの場合4 MJ/L-EtOH、この論文のCF-HIDiCの場合5 MJ/L-EtOHでしたが、その時点で一番省エネ効果の高い蒸留技術であるHIDiCでも汚れによるファウリングの問題もあり、発酵モロミ液のエタノール濃度が5 wt%に届かないと目標を達成できない、すなわちこのプロジェクトは目標未達となるとプロジェクト委員会で主張しました。ご指摘のこの論文の図はシミュレーション解析結果を使って、プロジェクトが目指すべき発酵目標値を示した図です。やはりHIDiCの積み重ねたデータベースを基に厳密にプロセスシミュレーション解析した結果を用いて説明しないと全員の合意は得られなかったと考えます。このような経緯をこの論文に加筆追記しました。一方、糖化・発酵グループは600株以上の酵母候補株からのスクリーニングにより得たCBP酵母をホストとして、キシロース代謝能の付与、発酵阻害物耐性遺伝子の導入、セルラーゼの細胞表層への安定的な提示に成功しました。その結果、高濃度バイオマス前処理物を高効率に糖化・発酵させるシステムを構築することができ、低濃度の開発酵素の存在下で5 wt%以上のエタノールを含有するモロミ液の生産が可能となりました。すなわち糖化・発酵グループも目標を達成しています。蒸留濃縮プロセスとバイオプロセスの両チームが協力しあって、それぞれ目標をクリアしたことで、本プロジェクトは全体の目標を達成できました。

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