Vol.7 No.3 2014
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研究論文:内部熱交換式蒸留塔(HIDiC)の技術開発(片岡ほか)−175−Synthesiology Vol.7 No.3(2014)して、その制御法の妥当性を確認した結果を図16に示す。図のように、プロジェクトの省エネ目標値(5 MJ/L-EtOH)をおよそ満足する5.09 MJ/L-EtOHになっただけでなく、製品(留出液)濃度の目標値(90 wt%以上)を十分に満足する92.2 wt%がエタノール回収率95.8 %で得られたこと、およびモロミ塔およびHIDiC塔の缶出液濃度の目標値(0.1 wt%以下)を十分に満足する0.01 wt%、および0 wt%が得られたことから、本CF-HIDiCも十分によい性能が得られることがわかった。最後に、受け渡し時のベンチプラントの写真を図17に示す。右のカラムが第1塔(モロミ塔)で左のカラムが二重管式HIDiC塔である。両塔の内部構造すなわちモロミ塔のリフトトレイ型チェンジトレイとHIDiC塔のリフトトレイおよび規則充填物の写真を図18に示す。HIDiC塔のリフトトレイの可動板には正方形孔が開けられており、固定板の円形孔の個数は段により蒸気流量の変化に応じて増減している。5 おわりにこの研究では、ニューサンシャイン計画における「内部熱交換による省エネ蒸留技術の基礎研究」に端を発し、3段階でNEDOプロジェクトに関わって10年以上にわたる技術開発の積み重ねの末、ようやく実証研究で成果を挙げることができ、実用化の道が拓けてきた。非常に高い省エネ効果が得られる技術であるにもかかわらず、実用化の道が遠かったのは蒸留塔の熱源である水蒸気の温度レベルでは省エネのニーズの本気度があまり高くならないためと思われる。クリーン系の蒸留プロセスには圧縮機を搭載する省エネ効果が高い標準型HIDiCが適している。しかし蒸留塔内の大量のプロセス蒸気を圧縮する圧縮機の大型化にいろいろな問題が残っている。特に減圧系HIDiCのドライ真空ポンプには大型のものはなく、その技術開発の問題は依然として残っている。結局、大型の蒸留プラントにはこの研究で開発した圧縮機を必要としないCF-HIDiCが適していると考えている。バイオエタノールに限らず広い分野での実用化を期待している。謝辞この研究は主として以下のNEDOプロジェクトに参画して、推進してきたものであり、ご支援に対して衷心より謝意を表します。○NEDOプロジェクトNo. P02020「内部熱交換による省エネ蒸留技術開発」(2002〜2006)○NEDOプロジェクトNo. P09015「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/圧縮機を必要としない内部熱交換式蒸留システムの基盤技術の研究開発」(2008〜2010)○NEDOプロジェクトNo. P07015「バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発/セルロースエタノール高効率製造のための環境調和型統合プロセス開発」(2008〜2013)またこの研究の上半期のHIDiC基盤技術のデータベースを構築する過程で、(独)産業技術総合研究所に貴重なご指導[1]をいただいたこと、そのおかげでその後の実用化へ向けての展開ができたことを付記し、深謝申し上げます。本プロジェクトは2013年11月7日に英国化学工学会(IChemE)の国際ベストプロジェクト賞(The Chemical Engineering Project of the Year Awards)のグランプリには届かなかったが、トップ5にノミネートされたことを報告して、謝意を表します。図17 ベンチプラント外観写真[10]図18 HIDiC塔(左)とモロミ塔(右)の内部構造[10]左:リフトトレイ(内塔部)、規則充填物(外塔環状部)、右:リフトトレイ型チェンジトレイ

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