Vol.7 No.3 2014
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研究論文:内部熱交換式蒸留塔(HIDiC)の技術開発(片岡ほか)−171−Synthesiology Vol.7 No.3(2014)面積を段間隔で過大に仮定していることと、実液の場合、汚れの問題が予測されることなどから安全側の設計になるように、総括伝熱係数に関してはデータベースの図8の推奨値の1/2以下に過小に評価して=250 kcal/m2 hr℃= 290.75 W/m2 Kと設定した。減圧操作となるから、シミュレーションの場合は濃縮部塔頂圧を740 mmHg一定にして変数である回収部塔頂圧を210 mmHgとした。その場合のシミュレーション結果を図10に示す。リボイラの加熱負荷の代わりである0.3 MPaの生水蒸気の必要吹込み量0.88 kg/hは加熱負荷=2.15 MJ/hに相当する。また予熱器の加熱負荷は=2.35 MJ/hである。理論動力0.7 kWとなったが、ドライ真空ポンプの現実の効率を40 %と仮定すると、消費エネルギーは=(0.7/0.40)(3600/1000)=6.3 MJ/hと換算される。原料約50 kg/h中のエタノールの体積流量は=3.16 L/hであるので、蒸留濃縮プロセスにおいて1 Lのエタノール生産に必要な消費エネルギーの計算結果は3.42 MJ/L-EtOHとなった。このシミュレーション結果をベンチプラントの設計仕様に組み込むので、計算段階でも本プロジェクトの目標値(4 MJ/L-EtOH)を十分に満足する可能性を示すことができた。4.2.2 HIDiCベンチプラントの設計と試運転結果将来のHIDiCシステムの大型化などの可能性に鑑み、当社が製作・建設すべきベンチプラントのフローは図11のように、ドライ真空ポンプを搭載する標準型HIDiCと圧縮機(この場合、ドライ真空ポンプ)が不要の大型プラント向きのCF-HIDiCの2種類のフローの可能性を調べる実験ができるように配慮して設計された。(1)標準型HIDiC図11のベンチプラントを標準型HIDiCとして使用する場合のフローを図12に示す。当初のBFCプロジェクトの省エネ目標が蒸留部門で4 MJ/L-EtOHと非常に厳しかったので、省エネ効果が大きい標準型HIDiCを適用すべきと考えた。通常のHIDiC塔と異なり、この二重管式HIDiC塔は汚れが蓄積した回収部をメンテナンスのためにトレイの引き出しをしたり、掃除がし易いように塔断面が円形の内塔側とし、掃除が必要でないクリーン系の濃縮部を外塔側環状部とした。汚れ対策も兼ねて回収部には閉塞しにくいリフトトレイを、クリーンな濃縮部には規則充填物を入れた。CBPプロジェクトで、HIDiCベンチプラントの試運転時には必要な量の発酵モロミ液が得られる段階になかったので、模擬液を用意し、濃縮部塔頂圧を常圧で一定にし、減圧にする回収部塔頂圧を変数にして試運転した結果、濃縮部760 mmHg、回収部225 mmHgにおいて良好な結果を得たので、その結果を図13に示す。ベンチプラントは蒸留濃縮に関して以下のプロジェクト目標を十分に小さい還流比0.378で満足する結果を得た:(1)90 wt%EtOHを上回る製品濃度94.4 wt%、(2)95 %を上回る原料中のエタノールの回収率95.4 %、(3)図10 設計のためのシミュレーション結果[6] 消費エネルギー目標値: 4 MJ/L-EtOH総括伝熱係数 (仮定値)U = 290.8 W/m^2 K (= 250 kcal/m^2 h℃伝熱面積 (1実段当たり)A = 0.09426 m^2規則充填物 (13 理想段)塔頂圧: 740 mmHg塔高さ: 5.2 m濃縮部 (外塔環状部) Do = 250 mmリフトトレイ:34 実段(17理想段,段効率:50 %)段間隔:200 mm(実段)原料供給段:#3(塔頂からの実段)濃縮部缶出液の供給段 #1(塔頂からの実段)塔頂圧 : 210 mmHg塔高さ: 6.8 m回収部 (内塔) Di =150 mm#3#1缶出液Xw = 66.8 ppmW = 47.65 kg/h68.4 ℃留出液(製品)xD = 93.63 wt%D = 2.58 kg/h還流比:R/R = 1.0内部熱交換速度Qint = 23.3 MJ/hコンデンサ冷却負荷Qc = -4.90 MJ/h0.3 MPa生水蒸気:0.88 kg/h相当加熱負荷:2.15 MJ/h原料(50 L/h)F = 49.35 kg/hEtOH:5 wt%30 ℃H廃熱回収熱j交Qhrc = 5.54 MJ/hHot side:68.4 → 40 ℃46.77 kg/h(760 mmHg)Cold side:30 → 57.4 ℃49.35 kg/h(760 mmHg)予熱器加熱負荷Qpre = 2.35 MJ/h57.4 → 69 ℃760 mmHgドライ真空ポンプ理論所要動力 0.70 kW蒸気排気速度:1062 L/min210 → 750 mmHg60.6 → 137.9 ℃回収部塔頂蒸気速度 =18.95 kg/hEtOH:63.43 wt%57.6 ℃、210 mmHg

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