Vol.7 No.3 2014
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研究論文:内部熱交換式蒸留塔(HIDiC)の技術開発(片岡ほか)−168−Synthesiology Vol.7 No.3(2014)0.1 wt% EtOH)を超えて満足しなくなる。CF-HIDiCの試運転ではモロミ塔の生水蒸気吹込み量を10.55 kg/hにした時、缶出液排出基準を満足し、省エネ目標値(5 MJ/L-EtOH)をもおよそ満足する結果となった。設置場所の高さ制限がなくてモロミ塔の段数をもう少し増やすことができれば、この問題は軽減されることもわかった。3 第二期プロジェクトにおける技術開発と設計データベースの構築第二期プロジェクト[1][2]において、当社は棚段式HIDiCに関する塔構造の技術開発を担当し、その後の自社の先導研究(第三期プロジェクト)へ継続して実機を念頭においた内部熱交換特性の設計データベースの構築のための研究を推進した。その実験装置を図4に示す。この二重管式HIDiC実験塔は前述のC5-splitterのパイロットプラントの原料処理能力(約1.6 ton/h)と同じ条件で空塔基準F-factorを調節して塔径を決めて設計されている。加圧する濃縮部を内塔、回収部を外塔側環状部とし、それぞれに当社オリジナルの“リフトトレイ”を各4段搭載している。塔径は内塔508 mm、外塔800 mm、段間隔400 mmとした。リフトトレイは図5に示すように、2枚の多孔板を重ねたものであり、上側の可動板が蒸気速度の変動に応じて上下に浮動することにより開孔率を変化でき、自律的に圧損を制御できるHIDiC向きのトレイである。すなわち蒸気流速が増加するとトレイの圧損が増加しようとするので、上側の可動板が浮上して開孔率を増加させて圧損が増えないように自動的に調節してくれるので、フラッディングに至るまでの安定なバブリング領域が広いという利点がある。(内部熱交換の伝熱特性の考え方)棚段式HIDiC塔内の内部熱交換の状態を模式的に図にすると図6のようになる。回収部より沸点が高くなるように圧縮された濃縮部では蒸気の部分凝縮が起き、その潜熱を内部熱交換でもらった回収部では還流液の部分蒸発が起きる。この内部熱交換の総括伝熱係数の定義を次式に示す。各段での内部熱交換の伝熱速度は濃縮部の部分凝縮と回収部の部分蒸発に支配されているが、トレイ上のバブリングの変動が複雑で、厳密に濃縮部の蒸気や回収部の還流液が伝熱面に接触する面積を測定して有効伝熱面積として評価することは非常に難しく、応用面を考えると工学的にもあまり得策でないので、段間隔で決まる内塔の側面積を伝熱面積と設定した。熱的接触をしている各段での濃縮部と回収部の温度差をとする。したがって段間隔や泡沫層高さが実機に近い状態で実験データを収集すべきことを配慮して実験をした。操作変数としては濃縮部圧力と回収部圧力の比/すなわち圧縮比を図5 リフトトレイ原理図図4 二重管型棚段式HIDiC実験装置[2][5][9]図6 棚段式HIDiC塔内の内部熱交換[2] HIDiC 向きトレイリフトトレイ:蒸気および還流液流量の大きな変化に適した自律安定型棚段(汚れに強い)リフトトレイ(濃縮部)リフトトレイ(回収部)内塔(濃縮部): 508 mm外塔(回収部): 800 mm塔高: 2300 mm濃縮部、回収部各5段段間隔: 400 mmトレイ:リフトトレイ 二重管棚段式内部熱交換蒸留実験塔 濃縮部(内円筒内)回収部(環状部)立面図¼ section平面図ストッパーピン塔内壁固定多孔板(下板)浮動多孔板(上板)固定多孔板浮動多孔板Max.4落下液滴蒸気棚段式 HIDiC 塔に適しているリフトトレイトレイ温度:凝縮液膜総括伝熱係数の定義濃縮部操作圧: Pair回収部操作圧: Paisリフトトレイリフトトレイ仕切り壁部分凝縮伝熱濃縮部回収部内部熱交換内部還流液の流下液膜(伝熱面)トレイ温度:部分蒸発伝熱泡沫層Qi = U Ai ( Tri - Tsi )TriTsi

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