Vol.7 No.3 2014
22/76

研究論文:自己抗体解析のためのプロテインアレイ開発(川上ほか)−158−Synthesiology Vol.7 No.3(2014)る際には、①磁性ビーズのリガンドの種類、②ビーズの素材とサイズ、③目的タンパク質の吸着量、④非特異的吸着、⑤懸濁液の分注方法等の観点から各種磁性ビーズを比較検討する必要がある。一般的には、HisタグやGSTタグ、Streptavidinタグ吸着用磁性ビーズ等が使用されている。磁性ビーズのリガンドは、タンパク質合成に活性を持った発現タンパク質が得られやすいという観点で5’FLAG-GSTタグを使用していることから、GSTタグ吸着用磁性ビーズを選定した。そして、先ほどあげた②から⑤の観点を踏まえて、Promega社のMagneGST Protein Purification SystemのGlutatione-Particlesを選定した。プロテインアクティブアレイを作製する際に、発現タンパク質が結合した磁性ビーズを固定することができ、洗浄や共通試薬の供給時には分注機等を使用しなくてもよい特殊なウェルプレートが必要となる。そこで、我々は、ウェル下部に磁石が内蔵されており、磁力によって磁性ビーズが強力にウェルのボトムに強力に結合するようにウェル底の厚さを極限まで薄くしたプロテインアクティブアレイ用のウェルプレートを開発した。通常、ELISA等のアッセイでは、各ウェルが一つ一つ独立したプレートを使用するが、磁性ビーズアレイ用のウェルプレートでは、ウェルが一つずつ独立はしているが、血清を希釈した反応溶液がウェル間で隔たれることがなく反応させるように設計した。そして、血清サンプル等の取扱時のバイオハザードを防ぐことができ、さらに、少量の均一溶液で反応させることのできる専用のカバープレートの開発も行った。このカバープレートを装着することにより、シリンジを使用して微量な反応液を磁気ビーズ表面の目的タンパク質に満たすことができるので、血清サンプルを開放系ではなく閉鎖系で扱うことができる特徴を持っている。以上のようなデバイスの工夫によってプロテインアクティブアレイの作製工程は非常にシンプルで短時間に作製可能である。まず、96ウェルプレートを使用したコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系によって合成したタンパク質に磁性ビーズを加え、磁性ビーズ表面にタンパク質を結合させる。そして、プロテインアクティブアレイ用ウェルプレートにタンパク質が結合した磁性ビーズ懸濁液を分注し、磁性ビーズを介して磁力でタンパク質をウェルプレートに結合させ、目的タンパク質のアレイ化を行う。長期保存の場合には、保存液を加えて−80 ℃で保存する。保存実験の結果、上記の保存条件によって6か月間は品質を保つことができることが確認されている。3.3 プロテインアクティブアレイの検出方法の確立プロテインアクティブアレイのアッセイは、最初のプローブ(ヒトのタンパク質との結合を見ようとする血清、低分子化合物、タンパク質等)の反応から検出までの工程を約8時間で完了することができる。また、1日の処理可能なサンプル数は、4サンプル/人となっている。検出には、蛍光色素がラベルされた2次抗体や、発光検出のためにHRPラベルされた2次抗体を使用している。検出は市販の化学発光画像検出器や蛍光画像検出器等、ウェスタンブロッティング画像を取得可能な機器を利用することができる。プローブおよび反応溶液の洗浄工程には、送液ポンプを使用しており、将来的には自動化も可能である。3.4 プロテインアクティブアレイのスクリーニング方法の確立我々は、タンパク質合成技術と分注機器を組み合わせることにより、約20,000種類のタンパク質を短期間に合成することができる。この特徴を生かして効率的かつ経済的にタンパク質をスクリーニングするためには、プロテインアクティ自己抗体のモニタリングヒトプロテインアクティブアレイ基板上にヒト構成タンパク質のカタログプロテオームワイドなヒトタンパク質の整列化プローブ(血清、抗体)図4B プロテインアクティブアレイによる俯瞰的解析プロテオームワイドなタンパク質を基板上に整列化し、プローブとなる血清や抗体を添加し、ヒトタンパク質に対する抗体の結合を俯瞰的に調べ、自己抗体のモニタリングを行う。

元のページ 

page 22

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です