Vol.7 No.3 2014
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研究論文:自己抗体解析のためのプロテインアレイ開発(川上ほか)−156−Synthesiology Vol.7 No.3(2014)ンスコドンに変えたエントリークローン(F-type)の2種類を作製している[6]。エントリークローンのORFのタイプは、遺伝子のORF全体を持つ全長ORF型、全長ORFからシグナルペプチドを除去したプロセッシングORF型、1回膜貫通ドメインを持つ膜タンパク質の細胞外ドメインまたは細胞内ドメインを発現可能なドメインORF型等、さまざまなタイプのエントリークローンを作製しており、研究目的に応じてこれらのリソースを自由に選択することができる。また、あらゆるタンパク質合成系でタンパク質合成が可能であるために、ORFの5’上流に大腸菌発現用のSD配列や真核細胞発現用のKozak配列を付加している。これらのタンパク質発現リソースは、N-typeとF-typeのエントリークローンを整備し、既知クローンおよび未知クローン、スプライシングバリアントクローンを含めて約60,000種類を作製している(表1)。これらのエントリークローンを網羅的なプロテオーム研究に活用するため、各遺伝子に対して最長のORFを持つクローンを代表クローンとして選定し、さらにタンパク質の機能(転写因子群、GPCR群、キナーゼ群、未知遺伝子群等)によって機能分類し、ヒト遺伝子の代表クローン約20,000種類を研究に使用している。ヒトタンパク質を使用して網羅的なプロテオーム研究を行うためには、ヒトタンパク質発現リソースを構築するだけではなく、網羅的にタンパク質を合成するための技術が必要である。我々がタンパク質発現リソースの構築を開始した2000年頃に、時を同じくしてコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を愛媛大学の遠藤弥重太教授らが開発したのである[7]。そこで、我々は、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を利用して、ハイスループットなタンパク質合成を行うための技術開発を行った(図3)。コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系は、タンパク質合成の成功率、合成タンパク質の可溶化率、合成タンパク質の活性保有率等の点において、大腸菌や真核細Entryclone Destination vector ATP Cr-P Cr-K Amino acids GTP コムギ胚芽抽出液タンパク質合成(コムギ無細胞系)(12h)RNA合成(SP6 RNA Pol.)(4h)PCR(2h)GatewayLR反応(3h)- Met NシグナルペプチドCCN細胞内細胞外細胞質FRC or NN or C確定エントリークローン数ドメインORF型プロセシングORF型全長ORF型C末Fusion型C末Stop型18,74428,38625,53131,249Total Type 2,7194,0682,86356,780 プロテインアレイ高感度(抗原→抗体の増幅はPCR増幅に匹敵)オートイムノーム(Autoimmunome)自己抗体により体内の微細な変化を初期段階で検出可能網羅的自己抗体のプロファイル疾患等の内因定常免疫トレランス自己抗体感染等の外因採血血液中の自己抗体の総体を調べる図2 自己抗体と疾患図3 Gatewayエントリークローンを利用したコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系注)実験医学 Vol.23 No.4 (増刊) ㈱羊土社 第3章3 「ヒトタンパク質の網羅的発現のための基盤構築」 五島直樹 他 図6を改変表1 Gatewayエントリークローンの作製数

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