Vol.7 No.3 2014
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研究論文:放射線による生体障害を軽減する高安定化細胞増殖因子の開発(今村)−152−Synthesiology Vol.7 No.3(2014)執筆者略歴今村 亨(いまむら とおる)1984年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了(薬学博士)。1984年通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所入所。1996年工業技術院生命工学工業技術研究所生体情報部細胞機能研究室長、2001年産業技術総合研究所ジーンディスカバリー研究センター副センター長、年齢軸生命工学研究センター副センター長、2005年シグナル分子研究ラボ長、脳神経情報研究部門副部門長などを歴任して、2010年からバイオメディカル研究部門シグナル分子研究グループ長、現在に至る。この間、米国赤十字ホランド生医学研究所客員研究員、東京理科大学客員教授、株式会社アドバンジェンCTO、筑波大学教授などを併任した。1996年つくば奨励賞。2013年日本薬学会学術貢献賞。血管内皮細胞、肝臓細胞、受容体、複合糖質、脳神経系高次機能、筋肉分化、皮膚毛成長制御、放射線障害防護などに関して、一貫して細胞増殖因子FGFを中心に据えた研究に従事。査読者との議論議論1 タイトルについてコメント(桧野 良穂:前産業技術総合研究所評価部)「放射線による生体障害を軽減する技術の開発」というタイトルの提案ですが、これは非常に魅力的なのですが、タイトルが示していることが広過ぎて、読者に過大な期待を持たせるのではないか危惧します。回答(今村 亨)ライフサイエンス分野外の読者にも入りやすくわかりやすい、簡潔なタイトル、という観点から元のタイトルとしていましたが、あまりに広いというご指摘もいただいたので、以下のような主タイトルと、シナリオの特徴を示すサブタイトルとしました。タイトル「放射線による生体障害を軽減する高安定化細胞増殖因子の開発」サブタイトル「放射線防護剤の創薬に向けた基礎研究機関における研究開発」議論2 シナリオの記述コメント(赤松 幹之:産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門)FGFを放射線防護剤として社会に出して行くシナリオの論文であり、まだ達成はされていなくとも、そのシナリオとそれに沿った取り組みは読者の参考になると思います。一般の医薬品と放射線防護剤とでは社会に出して行くシナリオが異なっていますので、放射線防護剤ならではのシナリオをもっと強調した内容にされると読者の興味をもっと引くことができると思います。また、PG-FGF1とFGFCとの関係が不明瞭という印象を持ちますが、複数のシナリオを並行的に進めているのでしたら、それが分かるようなシナリオの図示などをご検討ください。コメント(湯元 昇:産業技術総合研究所)この研究の目標は「既存の医薬品を凌ぐ活性を有する新規放射線[1]A. Hagiwara, F. Nakayama, K. Motomura, M. Asada, M. Suzuki, T. Imamura and M. Akashi: Comparison of expression profiles of several fibroblast growth factor receptors in the mouse jejunum: Suggestive evidence for a differential radioprotective effect among major FGF family members and the potency of FGF1, Radiat. Res., 172 (1), 58-65 (2009).[2]A. Yoneda, M. Asada, Y. Oda, M. Suzuki and T. Imamura: Engineering of an FGF-proteoglycan fusion protein with heparin-independent, mitogenic activity, Nature Biotech., 18 (6), 641-644 (2000).[3]米田敦子, 浅田眞弘, 今村 亨: シンデカンとの融合によるヘパリン結合性増殖因子FGF-1の活性改変, 細胞工学, 19 (9), 1338-1340 (2000).[4]M. Asada, A. Yoneda and T. Imamura: Engineering of a heparin-binding growth factor with heparan sulfate sugar chains, Trends Glycosci. Glycotech., 13 (72), 385-394 (2001).[5]今村 亨, 浅田眞弘, 岡 修一, 鈴木 理, 松田知栄, 米田敦子, 大田恵子, 織田裕子, 宮川和子, 折笠訓子, 小嶋哲人: 特許第3318602号「糖鎖付加型ヘパリン結合性タンパク質、その製造方法およびそれを含有する医薬組成物」, 平成9年11月10日出願, 平成14年6月21日登録[6]今村 亨, 浅田眞弘, 岡 修一, 鈴木 理, 松田知栄, 米田敦子, 大田恵子, 織田裕子, 宮川和子, 折笠訓子, 小嶋哲人: 米国特許第7005415号「糖鎖付加型ヘパリン結合性タンパク質、その製造方法およびそれを含有する医薬組成物」, 平成10年7月22日出願, 平成18年2月28日登録[7]今村 亨, 浅田眞弘, 岡 修一, 鈴木 理, 松田知栄, 米田敦子, 大田恵子, 織田裕子, 宮川和子, 折笠訓子, 小嶋哲人: 米国特許第7282481号「糖鎖付加型ヘパリン結合性タンパク質、その製造方法およびそれを含有する医薬組成物」, 平成17年11月23日出願, 平成19年10月16日登録[8]今村 亨, 浅田眞弘, 鈴木 理: 英国特許第2427863号「ヘパラン硫酸糖鎖を付加したヘパリン結合性タンパク質、その製造方法及びそれを含有する医薬組成物」, 平成17年3月31日出願, 平成20年12月17日登録[9]今村 亨, 浅田眞弘, 鈴木 理: 特許第4505631号「ヘパラン硫酸糖鎖を付加したヘパリン結合性タンパク質、その製造方法及びそれを含有する医薬組成物」, 平成16年3月31日出願, 平成22年5月14日登録[10]今村 亨, 浅田眞弘, 鈴木 理: 米国特許第7741078号「ヘパラン硫酸糖鎖を付加したヘパリン結合性タンパク質、その製造方法及びそれを含有する医薬組成物」, 平成17年3月31日出願, 平成22年6月22日登録[11]T. Imamura, S. A. Friedman, S. Gamble, Y. Tokita, S. R. Opalenik, J. A. Thompson and T. Maciag: Identification of the domain within fibroblast growth factor-1 responsible for heparin-dependence, Biochim. Biophys. Acta, 1266 (2), 124-130 (1995).[12]今村 亨, 岡 修一: 特許第2733207号「繊維芽細胞成長因子キメラ蛋白質を含有する医薬組成物」, 平成7年5月18日出願, 平成9年12月26日登録[13]K. Motomura, A. Hagiwara, A. Komi-Kuramochi, Y. Hanyu, M. Suzuki, M. Kimura, J. Oki, M. Asada, N. Sakaguchi, F. Nakayama, M. Akashi, E. Honda and T. Imamura: An FGF1:FGF2 chimeric growth factor exhibits universal FGF receptor specificity, enhanced stability and augmented activity useful for epithelial proliferation and radioprotection, Biochim. Biophys. Acta, 1780 (12), 1432-1440 (2008).[14]今村 亨, 本村香織, 倉持明子, 羽生義郎, 鈴木理, 浅田眞弘, 萩原亜紀子, 中山文明, 明石真言: 特許第5004250号「高機能化キメラ蛋白質を含有する医薬組成物」, 平成20年10月10日出願, 平成24年6月1日登録参考文献[15]F. Nakayama, A. Hagiwara, S. Umeda, M. Asada, M. Goto, J. Oki, M. Suzuki, T. Imamura and M. Akashi: Post treatment with an FGF chimeric growth factor enhances epithelial cell proliferation to improve recovery from radiation-induced intestinal damage, Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys., 78 (3), 860-867 (2010).

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