Vol.7 No.3 2014
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研究論文:放射線による生体障害を軽減する高安定化細胞増殖因子の開発(今村)−150−Synthesiology Vol.7 No.3(2014)BALB/cマウス(8週齢♂)に FGFC 3,10,30 µgを腹腔内投与し、その24 hr後に8 GyのX線を全身照射した。252015105002468照射FGFC/salinesalineFGFC 3μgFGFC 10μgFGFC 30μg照射後の期間 (日)生存マウス数さらに、被ばく後にFGFCを単独投与した際にも、生存期間の延長効果があることが示唆された。実際には、高線量被ばくの起きた際の緊急措置としては、単独の放射線防護剤の使用ではなく、複数の対策を組み合わせて行う。したがって、FGFCによる上記の延命効果は、FGFC以外の防護剤や幹細胞/骨髄移植等との組み合わせによりさらに大きくなると期待できる。したがって、それらの組み合わせの方法や有効性の評価等は今後の研究開発課題である。8.4 放射線障害防護のメカニズム(事前投与)それでは、FGFCの放射線防護効果は、どのようなメカニズムで発揮されるのだろうか。一般に、生物学的放射線防護剤の作用の分子メカニズムは十分には解明されていない。我々はまずFGFCを放射線被ばく前に投与した場合に放射線被ばく後のクリプト細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)がどのような影響を受けるかについて解析した。その結果、アポトーシスの過程を示す二つの指標を調べたところ、FGFCの事前投与群でアポトーシスが抑制されていることを見出した(図12)[15]。8.5 放射線障害防護のメカニズム(事後投与)それでは、放射線被ばくの後にFGFCを投与した場合の防護効果は、どのように発揮されるのだろうか。無防備に被ばくすれば細胞死は起こってしまい、その損傷は回復不可能なはずである。そこで、24時間後のFGFCの事後投与で有効性が確認された動物において、腸管上皮細胞の増殖と分化を調べた。その結果、上述2)のように、クリプト細胞の増殖反応が確認された。さらに、クリプトの細胞が増殖・分化して生じる腸管絨毛としての機能を有する上皮細胞について、その増殖マーカーや分化マーカーの発現がFGFCの投与によって増加していることが示された図12 プログラム細胞死を示す指標A(左:TUNEL)、指標B(右:activated Caspase 3)のいずれによっても、FGFCを被ばく前に投与すると細胞死が抑制されることが示される。(Nakayama et al. IJORBP(2010)のデータを一部抜粋)図11 FGFCを被ばく前に投与すると被ばく後の個体死が抑制され、生存期間が延長する。12 GysalineFGF1FGFCsaline0 Gy12 GysalineFGF1FGFCsaline0 GyTUNEL+ cell number / cryptcleaced Casp3+ cell number/ crypt0123450123***********FGFCFGF1salinesaline12 Gy0 GyFGFCFGF1salinesaline12 Gy0 Gy0123012345TUNEL陽性細胞数(クリプト当たり)活性型カスパーゼ陽性細胞数(クリプト当たり)

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