Vol.7 No.3 2014
10/76

研究論文:放射線による生体障害を軽減する高安定化細胞増殖因子の開発(今村)−146−Synthesiology Vol.7 No.3(2014)産物として得られた高機能化分子である。FGFCとは、FGF chimeraとして複数のFGFをカセット単位でキメラ化し、大腸菌を利用して生産した人工的なタンパク質である。キメラ化には多数の組み合わせがあるため、ここではまずFGFCという呼称を多数の分子群の総称として用いる。FGFCの基本構想の誕生は1988年に遡る。このころはFGFの医薬としての利用価値の評価は定まっておらず、放射線防護剤としての利用はまったく考慮されていなかった。私はFGF1を発見した米国のMaciag博士の研究室で客員研究員として分子生物学的研究を開始することになった。その当時、FGFはFGF1とFGF2の1次構造が明らかにされたばかりだった。私は日本国内で行っていた研究でFGF1とFGF2の性質に類似性と差異があることを見つけていたので、米国ではFGF1とFGF2の性質の基盤となる分子構造を明らかにする研究に取り組んだ。そして私は、合成オリゴヌクレオチドとカセットシャッフリング図5 PG-FGF1は炎症性環境で活性が増強する(上左)。これは糖鎖が部分分解してFGF1活性化に働くためと考えられる(上右)。天然型のFGF1は炎症液中の酵素で分解し(下右)、活性を失ってしまう(下左)。(Yoneda et al. Nature Biotechnology(2000)のデータを一部抜粋)医薬品の開発段階基本活性の実証応用技術の開発安全性確立有効性確立承認(認知)製品化適応拡大医薬品化の死の谷第3世代FGF医薬第2世代FGF医薬第1世代FGF医薬FGF7FGF2FGFCPG-FGF1放射線防護剤としての有用性図6 FGF活性を利用した放射線防護剤としての開発における、PG-FGF1とFGFCの位置づけ。FGF1PG-FGF11001010.010conc (ng/ml as FGF1)1001010.010conc (ng/ml as FGF1)01020304050600102030405060DNA synthesis promoting activity(3H-dpm x 10-3)DNA synthesis promoting activity(3H-dpm x 10-3)1, control2, wound fluid model treatment1, control2, wound fluid model treatment1212112230.197.445.030.118.045.0kDakDaPG-FGF1FGF11001010.010010203040506030.145.097.42101020304050601001010.010kDa21kDa18.030.145.0濃度(ng/ml as FGF1)濃度(ng/ml as FGF1)DNA合成促進活性(3H-dpm x 10-3)DNA合成促進活性(3H-dpm x 10-3)未処理モデル炎症液処理未処理モデル炎症液処理2121

元のページ 

page 10

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です