Vol.11 No.2 2018
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論説:放射性廃棄物処分の安全規制と地球科学(伊藤)−96−Synthesiology Vol.11 No.2(2018)将来的な被ばく線量を評価するための安全評価、地下埋設施設の建設、廃棄物の受入及び埋設、坑道の埋め戻し、保全、事業の廃止の段階によって構成される。図2に、原子力規制庁において検討されている中深度処分の各事業段階における規制の概要を示す[2]。制度上、規制が直接関与する期間は、事業者の基本設計に対する事業許可の審査から開始され、埋設事業の終了である事業の廃止措置の終了確認によって終了する。この中深度処分の場合おおむね300~400年が想定され、廃止措置が終了した段階で、事業者は解散し規制期間が終了することが予定されている。中深度処分の対象となる炉内構造物等の廃棄物及び地層処分における高レベル放射性廃棄物の放射能濃度の経時変化を図3に示す[1]。両者とも規制期間終了時である数百年後には初期放射能濃度の1/1000程度に減衰する。しかし、放射能濃度が初期濃度の1/100万に減衰するのに要する時間は、高レベル放射性廃棄物では1000万年程度、中深度処分対象の炉内構造物等の廃棄物においてもおおむね10万年程度を要する。したがって、中深度処分及び地層処分の規制基準においては、規制期間終了後も放射線障害(被ばく)が生じないことを保証するための規則が必要となる。それらの規則は、後述するような火山活動、断層活動等の影響による核種の漏洩を回避するための処分場の立地選定と、核種の閉じ込め機能と移行遅延機能を持つ処分容器や緩衝材等から構成される人工バリア、周辺岩盤に相当する天然バリアから構成される処分場の設計によって担保される必要がある。原子力規制委員会・原子力規制庁は、中深度処分に関して、処分事業者が遵守しなければならない事項を項目ごとに示した許可基準規則、技術的要件を満足する内容の例を示す規則の解釈、審査官が事業者の調査・評価結果の妥当性を確認するために、技術的要件への適合性を確図2 放射性廃棄物処分事業における規制として講ずべき措置の例廃止措置までの期間は300~400年程度を想定[2]図3 原子力規制庁作成による放射性廃棄物の放射能濃度と時間の関係([1]より抜粋)事業許可埋設施設確認保安規定認可廃棄体確認埋設施設確認保安検査保安検査保安検査保安規定変更認可保安規定変更認可廃止措置計画認可廃止措置終了確認基本設計建設操業(埋設段階)操業(保全段階)廃止措置段階高レベル放射性廃棄物放射能濃度(Bq/t)放射能濃度(Bq/t)経過時間(y)経過時間(y)炉内等廃棄物(平均)1E+161E+151E+141E+131E+121E+111E+101E+091E+081E+071E+061E+051E+041E+031E+021E+161E+151E+141E+131E+121E+111E+101E+091E+081E+071E+061E+051E+041E+031E+021E+01E+11E+21E+31E+41E+51E+61E+71E+81E+01E+11E+21E+31E+41E+51E+61E+71E+8主な放物線の種類実線:γ線破線:β線又はx線太線:α線主な放物線の種類実線:γ線破線:β線又はx線太線:α線Cs-137Sr-90Sm-151Tc-99Pu-239Cs-135Zr-93Cm-244Am-243Am-241Co-60Ni-63H-3Eu-154Sr-90Eu-152Pu-238Am-241Pu-240Pu-239Cs-137Ag-108mC-14Ni-59Tc-99Nb-94Cl-36Ca-41Hf-182I-129Pu-240Np-237Pd-107Ni-63U-236U-234U-238U-233Th-229

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