Vol.11 No.2 2018
26/66

研究論文:食洗機対応伝統工芸品「ナノコンポジット玉虫塗」(蛯名ほか)−77−Synthesiology Vol.11 No.2(2018)ンプルを選んでもらう形式である。アンケートは91名に実施した。似ていると回答されたおちょこについては、最も粘土添加量の少ない1.5 gの回答が最も多く、全体の6割以上に達した。図14より、ガラス平板試料を用いて評価した結果粘土混合量が少ないほどG値が大きくなる傾向があった(図14)。アンケートの結果は、図14の粘土添加量とG値の関係と整合している。3.5.2 飲食店におけるモニター調査次のステップとして、開発ペーストを用いて、おちょこに加えて、片口、タンブラー、オールド、磁器の皿、磁器の小鉢、合計6種類について、本試作を行った。そのいくつかについて、飲食店A、B、Cでのユーザー評価を実施した。懐石料理店Aにおいては、製品の説明をしながら、地元の日本酒の容器として用いた。十分使用に耐え、観光客や地元の料理を楽しみたい方へのPRになるという意見をもらった。レストランBは、フレンチで、フランス料理やワインに明るいソムリエの居るレストランであり、実際にソムリエがオーナーの店舗であった。ワインカップを使用したが、耐久性に問題はないものの、ワインの色が見えない等の指摘を受けて、ワインの色が見えるような形状のグラス図16 製品化したワインカップ直径約6 cm、高さ約15 cm。を検討した。レストランCは、イタリアンであり、ショープレートやワインカップを使用してもらった(図15)。保護膜ありとなしの両方のショープレートを使用し、食洗器で洗った結果、保護膜ありのプレートの傷が少ないことが確認された。ユーザー評価では、全般にデザイン性、使い勝手がよいので、商品化したら購入希望という意見をもらうなど、好評であった。3.5.3 製品化製品化する際には一定数のロットをこなす必要があり、最初はさまざまな商品展開を検討したが、製品を絞ることにした。実際に使用したレストランやさまざまな分野の方に意見を聞いたところ、ワインカップが海外のお土産品としても使える、飲み物も幅広く使えるだろうということから2015年4月にワインカップ2色を製品化した(図16)。ワインカップは2016年5月に仙台で開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議のお土産として採用された。製品化するに至り、第6回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞受賞をはじめ、ものづくり白書に掲載、みやぎ優れMONOに選定など仙台市、宮城県、経済産業省、復興庁等から支援されるようになった。NHK「イッピン」の番組放映では、このドキュメンタリーの内容が共感を呼び4回再放送される等全国でも知られるようになった。NHKワールド「サイエンスビュー」では世界各国で放映された。以後、さまざまな新聞雑誌の取材があり、事例紹介として取り上げられ続けており、2018年2月の段階でワインカップは注文から納品まで3ヵ月待ちの状態である。4 まとめと将来展開保護層に関しては、その外観、耐擦過性、耐紫外線性等について、目標を達成した。これを製品に付与するプロセスも確立し、製品を上市した。今後は、玉虫塗自体の耐久性を高めたいと考えている。また、今回開発した保護層図15 レストランにおけるユーザー評価の様子図14 粘土混合量とG値の関係1015粘土混合量[g/樹脂30 g]0510510090857570110G値[-]958020

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る