Vol.11 No.2 2018
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研究論文:食洗機対応伝統工芸品「ナノコンポジット玉虫塗」(蛯名ほか)−75−Synthesiology Vol.11 No.2(2018)値」を評価した。G値は、正反射光を含む全反射光SCI(Specular Component Include)の値から正反射光を含まない反射光SCE(Specular Component Exclude)の値を除算して計算される[15]。この値が大きければ大きいほど、つやがあることを示す。G値の測定はコニカミノルタ製分光測色計CM-2600dで測定した。入射角は8度である。黒玉虫上に保護層を付与したサンプルの測定値は98から99の間であった。G値としては100前後あれば光沢プラスチック相当と言えることから、光沢のある表面であることが分かった。食洗器試験前後で、G値の変化を測定した。食洗機にかける前よりどのサンプルもG値が少し下がる傾向があった。その差は保護膜無の場合には、2であり、保護膜有の場合には4である(図10)。保護膜有の方がやや大きな値となっているが、外観としてはほとんど変化が分からない程度の変化であった。次に、レーザー顕微鏡(キーエンス製KEYENCE VIOLET LASER COLOR 3D PROFILE MICROSCOPE VK-9500)で表面粗さRa値を測定した。洗浄回数と表面粗さの関係を図11に示す。洗浄前のコーティング層の表面粗さ⊿Raは0.07から0.08 µmであり洗浄後は0.09から0.06 µmの間で、洗浄による表面粗さの増加は確認できなかった。以上のように保護層付与により、色、つや、表面平坦性のいずれについてもほとんど劣化しないことが確認された。3.3.4 耐紫外線性の評価紫外線照射はセン特殊光源株式会社製ハンディキュアラブHLR100T-2を用い(強度12,000 µW/cm2、波長365 nm)、光源とサンプルの距離を約10 cmとし、照射を1から5時間行い、サンプルの色変化を色差計で評価した。なお、この条件で照度計により測定した照度とつくばにおける年平均値[16]から、1時間の照射は室内における2.6年分の照射量と計算された。保護膜なし、SPNあり保護膜あり、SPNなし保護膜ありの3種類の玉虫塗ハガキをサンプルとし、同時に紫外線を照射して一晩放置後、色変化を測定した。色変化は全て保護膜なし>保護膜SPNなし>保護膜SPNありの順に大きくなり、粘土添加の効果が確認された(図12)。また、青>緑>赤の順に色変化が大きかった。青についてはハガキに加え、ガラスを基板とした評価を実施した。保護膜なし、保護膜SPNなし、保護膜SPN有の3種類のサンプルに同時に紫外線をあてて色差を測定した。その結果、1時間照射後の保護膜なし、保護膜SPNなし、保護膜SPN有サンプルのΔE*abはそれぞれ、3.6、0.7、0.5となり、SPNあり保護膜サンプルの色変化が最も小さく、粘土添加の効果が確認できた。3.3.5 密着性の評価樹脂30 g、トルエン70 gにSPN 3 gあるいは0 g、開始剤6 gの構成で、バーコーターおよびスプレーにより付与した保護膜について、テープ剥離試験(JIS K5600)を実施したところ、保護膜の剥離は観察されなかった。また、同様のサンプルに対して、碁盤目テープ試験(JIS K5600)を実施したところ、剥離は観察されず、目標であ図12 ハガキサンプルに対する紫外線照射時間と色差保護膜なし保護膜あり(粘土あり)保護膜あり(粘土なし)123紫外線照射時間[時間]123126543210赤色差緑青0.080.070.060.050.040.031006020洗浄回数[回]0.09表面粗さRa[µm]0図11 洗浄回数と表面粗さの関係

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