Vol.11 No.2 2018
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研究論文:食洗機対応伝統工芸品「ナノコンポジット玉虫塗」(蛯名ほか)−73−Synthesiology Vol.11 No.2(2018)乾燥プロセスは室温、1時間で代用できることが分かった。この知見により、スプレーコーティングを行うクリーン環境の外にある乾燥炉に持って行くことなく、クリーン環境中にある漆風呂に置くことで乾燥ができ、ゴミの付着等を避けることが可能になった。3.3 評価方法と結果3.3.1 透明性の評価樹脂30 g、トルエン70 gにSPN 0 gから40 g、開始剤6 gの構成で、バーコーターによりスライドガラスに保護膜を付与し、透明性の評価を行った。なお、SPNを含まないものについては、ハジキが発生し、サンプルを作製することができなかった。ガラス上に塗工した膜の全光線透過率とヘーズを測定した(図7、8)。図7より粘土添加量によらず、膜の全光線透過率は目標値である90 %を超え、十分な透明度を有していることが分かった。また、図8よりヘーズについては、0.6以上1.8以下であり、特に粘土添加量が20-30 gの間で最低値を取ることが分かった[13]。本結果より、粘土添加量5 gから40 gの範囲で、十分に高い全光線透過率が得られることが示された。3.3.2 表面硬度の評価上記ペーストをバーコーター塗工したサンプルをガラス上の保護膜に対して、鉛筆硬度試験(JIS K 5600)によって耐擦過性を評価した。その結果、UV1700Bは目標レベルである3 Hには到達しなかった。一方、UV7640BあるいはUV7605Bは3 H以上の硬度が実現することが分かった[13]。樹脂はオリゴマー官能基が多い方が硬度が高くなると考えられるが、粘土樹脂混合系では最適な、分子量およびオリゴマー官能基量があるものと考えられる。開始剤の量は、十分な硬度が実現する6 gとした。樹脂については、UV7640Bの粘度がUV7605Bの粘度よりもずいぶん高く、粘土添加量[g]全光線透過率[%]5040302010090.090.591.091.592.092.593.093.594.0粘土添加量[g]ヘーズ[%]504030201000.00.20.40.60.81.01.21.41.61.82.0図7 粘土添加量と全光線透過率の関係第58回粘土科学討論会講演要旨集、A6、2014年より転載。図8 粘土添加量とヘーズの関係第58回粘土科学討論会講演要旨集、A6、2014年より転載。図6 保護膜の紫外可視吸収スペクトル60708090100110120750650550450350250波長 [nm]光重合開始剤による紫外線吸収粘土添加による紫外線吸収可視光領域には吸収はなしコントロール樹脂+光重合開始剤樹脂+粘土+光重合開始剤光透過度 [%]

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