平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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・医療用X線CT装置を用いた非破壊計測に関する研究 土木・建築工事や災害調査などで掘削されるボーリング試料の評価精度を向上させ、構造や物性の情報を迅速にアーカイブ化することができる。 ・火山噴火に対する緊急調査・研究 平成30年1月23日の噴火により、火口近傍のスキー場で被害が発生した草津白根(本白根山)噴火に対しては、降灰・噴石の分布調査等による噴火実体の調査を行い、その成果は噴火警戒レベルの検討や地元の警戒レベルの策定に活用された。東京都による八丈島ハザードマップの作成、避難計画の策定においては八丈島火山地質図(平成30年5月に発行)の研究成果を提供した。東京都が作成している噴火対応マニュアルには八丈島火山地質図が掲載される予定である。突発的な噴火活動に対する気象庁との火山灰迅速分析に関する協力体制が効果的に機能し、平成27年以降3年ぶりに噴火した口永良部島において、平成30年10月の噴火活動の再開当初から、噴出物分析によりマグマ物質の関与を指摘することができた。緊急調査については産総研公式HPを通して迅速に公開した。また火山噴火・緊急調査に関するマスコミ等からの取材は312件(産総研広報DB登録数;平成27年4月〜平成30年12月迄。なお平成30年度に限ると31件であった)。 【課題と対応】 AI(人工知能)を活用した微化石の正確な鑑定・分取システムで鑑定できる微化石は、現在のところ5種類である。AIが学習するためには微化石1種につき数1,000枚の顕微鏡画像が必要であり、実用的な運用へ向けてより多くの種についても学習用データの充実を図る必要がある。第4期の期間中には、実際の調査研究現場で有用な20種類以上について学習用データを整備する。現システムは、大きさが数10〜数100マイクロメートル程度の乾燥した粒子からの分取を目的としたものであるが、より小さな粒子や液体中の粒子、立体的な構造の粒子に対しては課題が残されている。第4期中長期目標の達成後には、このような様々な条件の粒子に対しても適用できる汎用的なシステムを開発し、微小領域における選別作業が必要な分野に普及を図る。 改良型ハスクレイGⅠの実証試験データ、及び一年を通した実証と経済性評価を平成31年度に行うことにより、蓄熱システム(定置型及びオフライン型)における課題を抽出し平成32年度以降の販売を促進させる展開に結び付ける。また蓄熱システム以外の熱利用及び除湿システムに関しても、平成31年度の実証試験を通し、さらなる市場拡大に向けた検討を行い、平成32年度以降の販売を促進させる展開に結びつける。 未利用資源の窯業原料化の研究において、非金属資源は陶磁器などの地場産業に結び付いている場合が多く、地方の活性化にも重要な役割を果たす一方で、農業や金属鉱業とは異なり、鉱種・地域毎に産業としての規模感が小さく業界も脆弱である。この問題を解決するためには、非金属資源を利用する産業界(ガラス,セラミック,自動車,建設など)を含めて危機感を共有し、持続的な開発・供給を目指す協力体制の構築が不可欠であり、産総研によるリーダーシップや技術支援が強く期待されている。 海底曳航式システムの製品開発の次には商品化、あるいは商品価値を高めることが課題となる。産総研の調査技術のノウハウを活かして開発した新しいケーブルを用いて実績を積むことが、商品価値を高めることとなる。先ずは、共同で特許出願を行うことで、企業との連携を維持しつつ、価値の向上を行っている。そのためには、産総研保有の深海曳航体における運用も同時に進めていく予定である。 地中熱利用における熱交換方式に関しては、クローズドループ、オープンループ及び帯水層蓄熱システムの他に、自噴井利用のセミオープンループシステムやタンク式熱交換器等を企業と共同で開発した。これらのシステムはどこでも導入できるシステムではなく、地域の水文地質環境から適地を判断する必要がある。そこで、平成30年度にはセミオープンループシステムのポテンシャル評価手法を開発し、その適地マップを作成・公表した。 表層土壌評価基本図の全国版の整備を加速するには関係省庁との連携・支援が必要である。さ- 46 -

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