平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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取得に成功した。産総研の持つ幅広い研究領域を活かした研究を進めている。システムの構築のため、関連する民間企業からの資金提供を受ける共同研究契約「海底資源調査に資する深海曳航型マルチチャンネルストリーマシステムの共同開発」により、製品の実用化を目指している。本システムに関する特許出願も行った。なお、海底曳航式システムの開発に関してはシステム開発から技術提供にそのフェーズを移しつつあり、平成30年度には民間企業への技術コンサルティングを実施した。 ・熊本地震など最近起こった地震に関する緊急調査・研究 GSJでは平成26年度末に「突発的地質災害対応マニュアル」を制定し、大地震や火山噴火等の突発的地震災害が発生した場合には、安全確保のもとで緊急的調査を実施し、調査・研究成果を速やかに関連する各省庁連絡会議(地震本部、火山噴火予知連絡会)に報告するとともに、一般向けにウェブ発信している。平成27年度以降は、熊本地震、島根県西部の地震、大阪府北部の地震、北海道胆振東部地震など8件について、発生翌日までに個別ページを開設し、緊急調査や周辺地質情報を発信した。平成30年度には、平成28年熊本地震を引き起こした布田川断層帯及び日奈久断層帯の活断層調査を行い、これまでに想定されていたより高頻度で地震を起こしてきたことが明らかとなった。また、詳細な年代測定結果から、それらの時期を限定した。さらに、日奈久断層帯陸域南部地域において、初めて過去2回分の地震のデータを取得し、今後の長期評価改定のためのデータを提供した。 ・地域の水文地質特性と調和した地中熱ポテンシャル評価手法の開発 日本での地中熱システムの更なる普及には、導入コストの削減と、システム効率の向上が重要である。そのためには地域毎の関連地下情報をとりまとめ、地中熱システムのポテンシャルを評価する必要がある。平成27~29年度は、東北地方の主要地域を対象に、地下水流動・熱交換量予測シミュレーションに基づくクローズドループシステムのポテンシャルマップ(可能採熱量マップ、熱交換器必要長マップ)を作成した。さらに、ポテンシャルマップの精度向上を図るため、現地での熱応答試験結果をシミュレーションモデルに反映させる手法を開発した。平成30年度は更に、地下水を直接利用するオープンループシステムや帯水層蓄熱システムのポテンシャル評価手法を開発した。平成31年度以降は、北陸地域や関西地域を対象に地中熱ポテンシャル評価(クローズドループとオーブンループの両システム)を実施する予定である。 ・ASTERの運用と利活用に関する研究 地球観測衛星データを処理した付加価値プロダクト「ASTER-VA」を平成28 年4 月より無償で一般に提供を始めた。使いやすいシステムを構築したことで、日本国内だけでなく海外からのアクセスも増加している。これを通じて一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構(JSS)の宇宙ビジネスコートの立ち上げに協力した。ビジネスコートを通じて、今後の小型衛星などを利用した宇宙ビジネスの進展に貢献していく。 ・表層土壌評価基本図の整備と技術の橋渡し 重金属類による汚染は我が国における土壌汚染の6割以上を占め、また表層土壌は農業と生活環境に与える影響も大きい。表層土壌に係る化学的基盤情報の整備は土地利用計画や産業立地診断及び重金属類に関するリスクコミュニケーション等に幅広く利用でき、極めて重要である。平成28年度に「表層土壌評価基本図~高知県地域~」の整備とウェブ公開を完了し、CDにて公表済みの宮城県、鳥取県、富山県及び茨城県地域表層土壌評価基本図もGoogle Earth上で表示できるようにデータを変換しウェブ公開した。また、平成29年度開催「全国版自然由来重金属類データ整備に向けて」のシンポジウムで受けた各業界からの要望を踏まえ、県単位での整備から地方単位での整備へ方針変更した。平成30年度は、四国地方の整備と公開に向けて調査と解析を進めた。さらに、関連技術をリニア中央新幹線沿線岩石のリスク評価と管理技術の開発に適用した。平成31年度には、四国地方の土壌試料の採取及び分析を完了する見込である。 - 43 -

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