平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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境等さまざまな分野における岩盤の掘削技術ポテンシャルを向上させた。 ・CO2長期重力モニタリングに関する調査・研究 CCSにおいて、CO2圧入停止後の重力変化はごく小さいが、陸域浅層にCO2が漏洩した場合には、大きな重力変化として検出される。そこで、長期かつ事業収入のないCO2圧入停止後の連続監視手段を本手法に置き替え、コスト・地元負担共に大きな反射法は異常発生時等のCO2プルーム分布探査に限定することで、モニタリングに係る総コストを大幅に低減させることが可能となる。また、CCS商用化時の大規模CO2圧入に際しては、圧入に伴う重力変化も検出されるため、貯留層にCO2が安全かつ確実に圧入できているかの確認に対しても本成果は有用である。 ・地層処分沿岸域調査 数多くの水試料を採取、分析したことにより、従来まで明らかでなかった、沿岸部深層地下水の一般的な水質や年代が明らかになってきた。このような一般的性質に関する知見は、地域の特性を論じるための比較軸となるため、今後得られるデータの分類や整理が効率的になる。また、得られた水質情報は工学分野(ニアフィールド)での実験条件の決定や核種移行を議論する安全分野において有用である。 ・カリ長石を用いたOSL年代測定法の確立と隆起速度評価手法への適用 カリ長石を用いたOSL年代測定法により、火山灰層序等の上載地層法により間接的に決められてきた5~数10万年程度の地層の年代を直接測定することが可能になった。このことは、第四紀後半の最近数10万年の地質変動に時間軸を入れて定量的に議論できる重要な成果であり、地質コンサルタント会社との共同研究や技術コンサルティングも多数行っている。 ・火山ガス・火山灰の迅速観測手法の開発 改良型Multi-GASの開発により、火山ガス連続観測装置の設置が容易となり、緊急時の迅速な対応が可能となり、データ利用が従来よりも容易となった。火山灰の自動画像取得方法及びその解析手法の開発により、火山灰データに基づく噴火タイプの迅速評価が可能となった。これらの成果をリアルタイムで統合的に閲覧・把握することが可能となり、噴火によって引き起こされる災害要因の予想や、防災対応を検討する上で重要な情報を提供することが可能となり、火山噴火に対する防災・減災に大きく貢献すると期待される。 【課題と対応】 埋設水道管腐食リスク評価における高周波電気探査装置の初号機は、機械の特性を良く知った専門家以外が調査に使用するには困難な操作性である。また、過酷な気候条件下での動作の信頼性に課題が残っている。それらの課題を明確化し、装置の信頼性や使用性を向上するために、適用事例研究の積み重ねが必要である。 ドローンを利用した物理探査技術の地盤・土壌調査への適用可能性を探るために、さらなる適用事例研究が必要であり、加えて他の調査結果との比較を行い、ドローンを利用した探査手法の信頼性の検証を実施することが重要である。 深部流体の起源・広域分布に関する調査研究において、深部流体の上昇により実際に周辺の岩盤がどのような影響を被っているかを明らかにすることが課題である。また、地下水の長期的な変化を予測するには、深部流体の上昇量を見積もる必要がある。そのため、岩石との反応に敏感な元素指標(希土類元素など)を用いた岩盤との反応評価手法開発、地表への深部流体湧出量の現地観測などを行う必要がある。また、調査を継続し、深部流体の全国分布をより詳細に把握する。 南海トラフ周辺地域の地殻活動モニタリング高度化の研究においては、新規4観測点の整備・4地点のひずみ計更新を計画中。実施後にはひずみデータによる紀伊半島から四国の検出能力が大幅に改善する。既存未使用井戸へのひずみ計設置、GNSSデータや海域地殻変動データとの連係、新たなSSE解析手法の開発・実用化により、さらなるSSEの検出能力の向上を目指す。 - 39 -

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