平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
42/140

・高周波電気探査を用いた埋設水道管腐食リスク評価技術に関する研究 従来の路面掘削・土壌採取及び比抵抗測定という工程が、本技術により路面を傷つけずに行うことができるようになるため、水道管の腐食リスクを効率よく評価可能となり、水道インフラの維持管理におけるコスト・時間・労力の低減に直結する。全水道管のうち約8.5%(平成23年度)が耐用年数を超えている。2025年度には約20%が耐用年数を超えると言われており、その設備更新には1兆円以上の経費がかかるため、本技術に対する期待度は非常に大きい。なお、本技術は平成29年度にプレスリリース1件、新聞等報道7件、特許出願1件、平成30年度には物理探査学会学術業績賞を受賞した。 ・ドローンを利用した物理探査技術に関する研究 当該システムの成果発信により、ドローンを活用した物理探査技術開発の機運を高め、また災害分野だけでなく、農業分野等への適用可能性も見出された。広域で浅層を対象とした地盤調査や土壌汚染調査への適用が可能なため、探査効率向上・コスト削減につながる様々な産業分野への展開が期待される。 ・深部流体の起源・広域分布に関する調査・研究 深部流体上昇地域の把握、深部流体の混入による低pH地下水、高濃度地下水分布地域の把握し、放射性廃棄物地層処分地選定に対して原子力規制庁が行う安全審査に必要なデータの整備に貢献する。また、火山・地震活動と密接に関連する研究テーマ「島弧-海溝系の流体循環解明に向けた研究領域の創出」として、科研費・新学術領域など地球科学研究にも貢献する。 ・火山活動の長期評価と巨大噴火に関する研究 本託研究で得られた成果は、規制庁の火山影響評価ガイド等の改定や、審査等に活用される。具体例として,GSJが平成26-27年度に実施した火山灰目詰まり時のエアフィルター性能評価結果等をもとに、原子力規制委員会が発電用原子炉の設計基準(気中降下火砕物濃度等の設定)を改定している(平成29年9月20日)。また、大山火山噴火履歴の定量化(山元,2017)を受けた検討の結果、電力会社による噴火影響評価の条件が再設定された(平成30年11月21日)。これらのアウトカムは「原発審査にデータ活用」と題して、新聞等に紹介された。 ・南海トラフ周辺地域の地殻活動モニタリング高度化の研究 SSEの観測による南海トラフのモニタリングが可能になった。本研究で開発した観測・解析手法の一部は気象庁に移転され、気象庁による常時監視に用いられている。 ・表層型メタンハイドレートの調査 本研究の成果を基に、経済産業省が表層型MHの回収技術の調査研究を開始した(エネルギー・環境領域で実施)。表層型MHの賦存状況に関する基礎データが不足している海域において、詳細な海底地形及び海底下浅層構造を明らかにすることは、表層型MHの賦存状況の把握に資するとともに、将来の海洋産出試験の実施場所に関する検討の基本情報となる。 ・産業に不可欠な鉱物資源の安定供給確保のための調査・研究 公表されているミャンマーの鉱床・鉱徴地の情報は著しく乏しく、政府機関でさえもその正確な情報を把握できていない現状である。ミャンマー全土の金属鉱物資源データベースの作成及び現地調査に基づく具体的な資源開発可能性の提示は、日本企業が新たに探鉱する地域の特定や投資する鉱床の選定に直接関係するため、“橋渡し”として有益であり、我が国の同国における資源開発への道を開くものである。 ・掘削ビットの高性能化に関する研究 地熱井掘削に適応した高性能な掘削ビットの開発により、地熱開発の促進に貢献した。また、世界的に遅れていた我が国のPDCビット製造技術の進歩に寄与し、鉱山・土木・エネルギー・環- 38 -

元のページ  ../index.html#42

このブックを見る