平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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南アフリカ、アメリカ、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、ミャンマーを対象にレアメタル鉱床の資源ポテンシャル評価を実施し、各国の調査地域におけるレアメタル含有量等の特徴を明らかにした。また、南アフリカ共和国の鉱物処理研究所と共同でレアアース鉱石の選鉱試験も実施し、基本的な選鉱プロセスを確立することができた。 平成30年度は、南ア・鉱物処理研究所との共同研究を継続し、選鉱プロセスや基礎的データの取りまとめを行うとともに選鉱試験を実施したところ、回収率やコストの検討が必要ではあるものの、精鉱中のレアアース酸化物品位を向上させることが出来た。アルゼンチンでは、タングステン鉱床地域の広域調査とジルコンU-Pb年代測定によって、複数の造山運動が鉱化に関与していることを解明することが出来た。また、アルゼンチンでの国際会議(IAGOD2018)において、”High-tech critical metals”のセッションを開催した。ミャンマーでは、29年度に北部で新たに発見したニッケル鉱徴地について、精査と探鉱のための現地調査を開始した。また、ミャンマー全土での金属鉱物資源データベースの作成を発案し、まず、銅、鉛-亜鉛鉱床に注目して470以上の鉱床・鉱徴地を特定することが出来た。平成31年度は、錫、タングステンを対象に、ミャンマー全土の金属鉱物資源データベースの作成を継続し、今後5年間かけて完成を目指す。またミャンマー現地調査においては、銅、鉛-亜鉛、金鉱床が地表付近に確認されている地域を対象に、地質図の作成や地化学異常の特定を行い、鉱床の分布状態を把握する。 ・掘削ビットの高性能化に関する研究 地圏の開発・利用・調査等において、岩盤の掘削に係るコストは一般に高いと言われている。岩盤掘削の低コスト化のためには、性能の良い掘削ビットを開発することが重要である。平成27年度から民間企業2社と共同でJOGMEC委託研究「地熱発電技術に関する委託研究」を受託、主に①PDCビットの先端に使用される刃先材の耐久性の室内試験による評価、②開発したPDCビットの大型掘削試験装置を用いた室内掘削試験及び複数の地熱井掘削現場における実証試験を通じた掘削性能評価及び課題抽出を担当し、硬岩や不連続面を多く含む岩盤に対応したPDCビットの実用化可能性を検証した。その結果、受託研究の数値目標(掘進速度,ビット1丁当りの掘進長(耐久性),ビット自体の摩耗量)の内、掘進速度と摩耗量で目標を達成し、平成30年度には、耐久性の向上を目指しPDCビット中央部のデザイン改良、改良されたビット先端の刃先材の耐久性に係る室内掘削試験及び開発したPDCビットの現場実証試験を通して、特に軟弱な地層におけるPDCビットの有用性を明らかにした。平成31年度は、掘削の目的や岩盤の特性に適応した掘削方法、掘削ビットのデザインや刃先材、操業条件等の設定・選定による、鉱山・土木・エネルギー・環境等さまざまな分野における岩盤掘削の効率化に係る研究を推進する。 ・CO2長期重力モニタリングに関する調査・研究 CO2地中貯留(CCS)実用化規模に適用できるCO2圧入・貯留に係る安全管理技術の確立を目指し、平成28年4月に二酸化炭素地中貯留技術研究組合を設立、参画し(平成30年度公的外部資金直接経費:86百万円)、CO2長期モニタリング技術の開発等を担当している。その一環として、超伝導重力計を用いた高精度微重力モニタリング技術の開発を推進している。我が国では海底下CO2貯留が想定されていることから、沿岸域の過酷な環境下での重力データ取得・解析技術の開発を目的として、平成27年から苫小牧CCS大規模実証試験サイトにおいて3年半にわたる重力計測を行ってきた。平成30年度は、苫小牧サイトにおいて、深度5 m及び10 mの地下水井を2本ずつ掘削し、地下水位の連続計測を開始した。3カ月間の地下水位変化の重力データへの影響を補正することにより、現行で±1 μGal程度までのノイズレベルの低減を達成した。さらに、苫小牧サイトの観測配置と3次元 CO2プルームを仮定し、CO2の貯留に伴う重力変化を試算した。その結果、±1μGal程度までのノイズレベルの低減により、100万トン/年でCO2を圧入した場合には、3年程度でCO2貯留過程における重力変化の明瞭な検知が可能となることに加えて、一般的に陸域側浅層へのCO2プルームの漏洩検知に対して高精度重力観測が有効であることを提示した。平成31年度は、通年で取得した地下水位データを用いて、積雪や融雪時の変化を含めたノイズ除去を実施する。 - 36 -

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