平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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本列島における深部流体上昇地域の把握を行った。平成27~29年度においては、深部流体の検出手法の新たな提案、上昇過程の解明として、検出手法として、ハロゲン元素比(Br/Cl-I/Cl)を指標とした深部流体検出手法の提案し、ヘリウム同位体比による西南日本における深部流体の上昇過程を解明した(平成27年度成果)。また、日本列島全域のどこに深部流体が上昇しているかを明らかにするため、日本全国の深層地下水データの拡充を行い、平成30年度に日本全国の深層地下水データ約24,000件をコンパイルした深層地下水データベース第2版をGSJ研究資料集に公表した。 ・火山活動の長期評価と巨大噴火に関する研究 本研究は原子力規制庁からの受託事業(平成26~30年度)で、長期的な火山活動の可能性をより定量的に評価するための評価基準・指標、火山活動モニタリング評価基準・指標に関する知見を整備することを目的としている。平成29年度までには,十和田、赤城、大山火山等の長期火山活動履歴調査を実施した。支笏、阿蘇、姶良、鬼界カルデラ形成噴火の準備・進展過程を明らかにするとともに、巨大噴火直前のマグマの温度・圧力条件を推定した。電磁探査法の一つであるMagnetotelluric(MT)法観測データにより阿蘇カルデラ地下の3次元比抵抗構造を明らかにし、少なくとも地下10km以浅には巨大なマグマ溜まりが存在しないことを示した。また、平成30年度には、観測された地殻変動量から粘弾性モデルを使ってカルデラ地下の粘弾性構造を推定する手法を開発した。 ・南海トラフ周辺地域の地殻活動モニタリング高度化の研究 想定南海トラフ地震震源域の地殻活動モニタリングのため、常時観測の継続、短期的ゆっくりすべり(SSE)の検出精度向上や低廉なひずみ計の開発を実施した。GSJ・気象庁・防災科研の地殻変動データを統合してSSEを解析し、毎月の政府「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」や地震調査委員会にモニタリング結果を報告した。地下水位でSSEを検出可能となるよう、地下水観測井の密閉化によりひずみ感度を10倍に改良し、SSEによる水位変化観測に成功した。また、人間情報研究部門と共同でSSEの客観的な検出手法を開発した。平成25年に民間等と共同で特許を取得したひずみ計設置関連技術が平成27年に1件実施された。コスト・工期の大幅縮減を目的としたひずみ計の小型化・低廉化及び既存未使用井戸を活用する手法の開発に着手した。 ・表層型メタンハイドレートの調査 「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」に基づく国家プロジェクトの一環として、経済産業省委託研究において、日本海を中心に存在が確認されている表層型メタンハイドレート(MH)の資源量把握に向けた地質調査を実施した。上越沖の海鷹海脚中西部マウンドの資源量を試算し、メタンガス換算で約6億㎥と推定した。その後、さらなる賦存状況の把握に向け地質調査を実施してきた。平成30年度は、引き続き、経済産業省委託研究(公的外部資金3.3億円)の下、表層型MHに関する基礎データを更に補完するため「オホーツク海網走沖海域」において、自律型無人潜水機(AUV)を用いた詳細地形地質調査を実施した。その結果、テクトニックな変動や急激な堆積が海底下での流体移動を規制している可能性があることを発見した。平成31年度は、平成30年度中に経済産業省が改定する「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」に基づき、賦存状況や海底状況の把握に向けた調査を他領域と連携して進める見込である。 ・産業に不可欠な鉱物資源の安定供給確保のための調査・研究 産業に不可欠な鉱物資源の確保は依然として我が国の長期的な課題である。また、GSJの活動に対して、調査/研究、探鉱、開発までの国の一貫した政策の中で、JOGMECや民間とより一層協調した展開をすることも近年期待されていることの一つである。このような背景を踏まえ、本調査・研究の主眼は、「レアメタル確保の基盤整備」から「地域、内容を重点化し、将来の橋渡しのあり方を想定した展開」へ徐々に移行し、特に、本格探鉱を活発化し難い国情や情報レベルの国、現段階ではミャンマー連邦共和国に注目して「橋渡し」研究後期にも繋がるような、民間の事業化検討に有用な情報整備と技術開発を目的として調査・研究を進めている。平成29年度までに、- 35 -

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