平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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がり、世界トップレベルの研究の中心(ハブ)となることを可能とする。 ・海外卓越研究員招聘事業による磁性分野先端的研究の展開 論文成果により、産総研・日本の国際プレゼンス向上、ならびに産総研出版論文数・引用度数向上につながる。また、研究分野・学術の発展に寄与するのは当然のことであり、特に本プロジェクトの成果は磁性にかかわる学問の基盤を支える部分で重要となる磁化逆転過程に関する解析手法・解釈の改善と分析精度・利便性向上にかかわるものである。論文以外の成果については、機械学習ソフトウェアFORCsenseiの完成が重要な点としてあげられる。完成したソフトウェアは論文出版にあわせてクラウドサーバー上で一般公開することになっており、世界中の誰でも利用が可能となる。プロジェクトでは、磁気ヒステリシス二次微分測定装置の改善と導入が行われた。旧測定装置装置については、冷却水および室温に起因する温度ドリフトが影響を及ぼしていることが判明したが、新型高性能チラーの導入などにより改善をはかり、測定精度の向上が可能となった。これは、隕石・鉱物単結晶粒子など微量試料の高精度分析に特に役立つ。また、新測定装置の導入を行い、高速・高性能・高温対応のFORC測定が可能となった。特に、旧測定装置に比較して大型試料(~10gまで)の測定が可能になったこと、1,000°Cまでの高温測定(多くの天然・人工磁性物質のキュリー温度・ネール温度の前後での磁化反転特性の分析)が可能になったことが重要である。高温でのFORC測定は、GSJの重要課題の一つである火山の溶岩あるいは火山灰に含まれる磁性鉱物の同定と成因解明に役立つのみならず、断層活動で加熱された断層ガウジに含まれる磁性鉱物の生成プロセス等詳細解明にも活用可能である。本プロジェクトで磁気ヒステリシス二次微分測定装置のための自動測定スクリプトもLabViewで作成された。これらは、FORC図のみならず、磁性鉱物の磁区構造(特に渦ドメイン構造 (vortex state); 過去に疑似単磁区粒子(pseudo-single domain grain)として理解されていた粒子中の磁気スピンが渦を形成する状態)の同定に役立つFORC図の発展形であるremFORC図(Zhao et al., 2017)についても自動測定を可能としている。測定データから作成したFORC図(およびremFORC図)の実測定データの蓄積(磁鉄鉱、赤鉄鉱など)も過去データに加えてプロジェクト中で行われた。また、FORCaistulatorによるFORC図(およびremFORC図)の理論計算データも蓄積されたが、これらについてはデータベース化を行い、FORCsenseiとともに公開することになっており、磁性研究分野の発展(ならびに産総研・日本のプレゼンス向上)に寄与すると期待される。 【課題と対応】 天然ガスの成因解明や効率的開発に資するため、多様な油ガス田を対象に地下微生物による根源有機物のメタン変換メカニズムを解明することが課題である。石炭・ケロジェンのメタン変換メカニズムについては今なお不明な部分が大きく、現場環境を模擬する培養実験と、13C-トレーサー法も含めたメタボライト分析等の手法を融合して、メタン変換メカニズム解明の研究を進める。 複合汚染の完全浄化を目指した研究開発においては、低コスト・低環境負荷浄化技術の開発は依然として重要な研究課題である。企業との連携を深め、研究開発を進めるとともに技術の実用化にも注力していく。 応力マップ作成の現在のペースでは、1地域に2~3年要するため、日本列島全域をカバーするためには、15年程度の時間を要することが課題である。一番時間が掛かっている地震データ処理部分の短縮を目指した対応、具体的には、機械学習による解析法の開発に取り組むとともに、当該研究を担う人材育成を検討する。 地下数kmに存在する超臨界地熱資源に関する科学的な理解が十分でないことに加え、その探査・モニタリング技術も十分とは言い難い。また、温度・圧力・腐食性物質の存在等により超臨界地熱資源の開発環境は極めて過酷になることが想定されているので、それに対応した開発技術・材料の開発も不可欠である。国内研究者は、基礎研究、他分野の新技術導入、国際連携等を通じてこの問題を解決しようとしている。 サンゴとサンゴ礁に関する研究は,海洋地質学、地球化学と生物学,特に分子生物学的な手法との連携による研究推進が重要であって,連携強化が喫緊の課題である。年棒制研究員制度によ- 32 -

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