平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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じた広報に加えて、地質や地形についてのテレビ番組の影響による地質のへの興味の高まりも受け、地質標本館への来館者数も増加傾向にある。さらに、「サイエンスフェスタin秋葉原」(平成30年7月)やJR東日本広報誌トランヴェールの特集記事(平成31年1月号)などツーリズムとも連携して情報発信を強化しており、今後のさらなる来館者増加が期待される。これらのこともあって、平成30年度の年間来館者は過去最高の4.9万人(平成29年度比5%増、第4期中長期計画当初比130%)が見込まれるとともに、昭和55年の開館から平成30年度までの累計入館者120万人を達成した。様々な機関との連携の観点では、地域への地質情報の発信力を強化し、地質研究の成果を社会へ繋ぐ活動が強化された。特に、熊本地震の巡回展は、平成30年度までの累計で、日本各地で延べ9万人が来館するなど好評であった。静岡県地震防災センターとは、平成29年度の第25・26回GSJシンポジウムの開催を機に、地質情報の活用を自治体・住民へ繋ぐ連携の拠点を得ることができた。自然科学に対する知識だけでなく、新産業のヒントになる展示、解説を充実させてきたことで、今後の企業連携にも期待が持てることが明らかとなった。例えば、テクノブリッジフェアでの地質標本館ツアーへの参加企業が平成29年度の15社から平成30年度は48社に増加するなど、ショーケースとしての機能が向上した。これらの取り組みにより、例えば薄片技術ではこれまでに合計2件の技術コンサルティングを受注している。 【課題と対応】 CCOP地質情報総合共有プロジェクトでは、データの更なる拡充による質と量の充実化が課題であり、そのためにCCOPを通じて各国機関との一層の連携を推進する。CCOP地質情報総合共有システムが、CCOP加盟国(15カ国)で現在行われている各種プロジェクトの成果を公開するための標準プラットフォームとしても利用できる点から、このシステム活用を進めていく。また、システムの機能向上や各国スタッフの能力向上のため、講習会を開催しシステムの改善点の洗い出しや技術指導を今後も行う。そして、このシステムで提供される東・東南アジア地域の地質関連情報が広く世界で活用されるようにするため、OneGeologyなどの各種の世界的なプロジェクトと連携し、GSJが中核となり、東・東南アジア地域の総合データベースとして発展させていく。 地質図幅は、社会ニーズを十分に汲み取った、地域振興・地方創生のための公共財及び基盤情報で在り続けることが課題である。そのために、今後も高品質の地質図幅を提供することをまず第一とし、加えて、調査地域でのプレス発表等を活用して、土木業界や地元自治体等への認知度を高める取組みを進める。また、幅広いニーズに対応可能な柔軟なシステムづくりを目指し、ウェブによるシームレス地質図の配信など利用する側が応用しやすい形での情報提供の手段や形態の工夫を今後も行う。地質図幅の作成は、一般的な地図よりも難しい技術が必要とされる。例えば、地形図では地表面の形状のみを扱うが、地質図の場合は地層の傾斜、断層、岩質といった地下の状況・構造などの複雑な情報を二次元の紙面に表現する技術が必要となる。地質のナショナルセンターとして、GSJは質の高い地質図幅を提供し続けることが課題である。その技術を継承する若手人材の育成を行うため、平成29年度から再開した修士型研究職員採用を今後も積極的に進める。 海洋地質情報をより使いやすく利便性を高めること、利用価値を高めることも課題であり、そのために南西諸島周辺海域からの海洋地質図は海底地質図、重磁力図と表層堆積図を一緒に出版するなど取り組みを進めている。今後は、主要4島周辺の海域で整備した海洋地質図の出版時期や地域の特徴による区分のずれをなくした海洋地質情報として発信することを検討し、見やすく、使いやすい海洋地質情報を目指す。 各調査地域における固有の地質学的な防災意識を認識して、信頼性の高い地質情報の提供に取り組むことが重要課題である。そのために、各地域の自治体、大学と研究機関との共同して、引き続き人口・インフラが集中する都市沿岸域の調査、海陸シームレス地質情報集の出版とプレスリリースを積極的に進める。今後はこれまでの調査成果の取りまとめや紀伊水道・大阪湾沿岸域の調査を実施する予定である。 膨大な堆積物試料の分析作業において、人材や分析装置等の確保が最大の課題である。人材については産総研の各種雇用制度を用いるとともに、他研究機関の研究者と共同研究を進めていくことで、若手人材の育成を行う。分析装置等については、効率の良い分析方法の開発を進め、簡- 26 -

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