平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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データ(国土交通省)とシームレス地質図V2を連携させたデータセットを公開した。地質図のより一層の普及を図るため、一般利用者に広く普及しているウェブサイト「地理院地図」を利用したGSJ地質図の活用について、国土地理院と協力して検討を始めた。 ・地質情報の成果普及活動 地質の調査の成果が社会に広く受け入れられ、利活用が広まるように、地質情報についての国民の理解を増進する目的で、「地質の情報がなぜ必要か、どこに使われているか、どんな可能性があるか」を伝える活動を、地質標本館を核に展開している。特に、第4期中長期計画期間においては、地質標本館を、GSJの最新の研究成果や技術を企業などへ伝えるショーケースとして明確に位置付けるべく、情報発信機能の強化を進めてきた。以上の方針に基づいて、地質標本館を核としつつ、地質情報展など産総研外でのイベントなども通じて、地質の研究成果を享受する社会の形成に取り組んでいる。すなわち、一般国民へは、地質の研究のワクワク感の提供をコンセプトに、地質の恩恵、利用、リスクについての国民の理解を深めることに務めている。また、企業、自治体などに対しては、地質情報への“ひらめき”の提供をコンセプトに、地質情報の具体的な活用法や新たな応用法を紹介し、さらに、“ひらめき”から連携へ繋がることを目指している。これらのことを踏まえて、地質標本館で実施する特別展ではGSJの最新研究や社会的トピックを取り入れて新鮮さを出すよう試みている。例えば、地質標本館の常設展示については、産総研発ベンチャー企業によるプロジェクションマッピング技術などを使ったものへの更新、季節ごとに行う特別展では、社会的に関心の高い地震や、地域にちなんだテーマ、さらに最新の研究成果の展示を行っている。バリアフリーも推進し、触れる展示や点字ブロックの設置を行っている。 地質標本館外の活動では、地質情報展をはじめ、GSJシンポジウムやGSJジオ・サロン等を通して、最新の地質の研究成果をつくば以外の地域において発信するとともに、企業との議論や技術マーケティングの場としても活用している。また、省庁や他機関が主催するイベントにも多数参加し、日本各地における知名度の向上、情報発信の強化、連携先の拡大を進めている。 地質標本館では、「地質研究の過去、現在、未来」を主テーマに、ジュニア世代からシニア世代まで幅広い層に楽しみながら知識を深めてもらえるように、大型展示の改修を進めてきた。代表例は、産総研発ベンチャー企業による技術支援を受けて作成したプロジェクションマッピング「日本列島の地質」である。長さ9 m(縮尺1/34万)の精密模型の上に、来館者がメニューを選択して、地質図、活断層、活火山、交通網、公共施設などを重ねて投影するもので、都市や交通インフラなどが地質とどう関係しているかなどを俯瞰できる。また、多数のボーリングデータを基に東京の地下を可視化した模型を作成し、これを使った地下利用や地震動などの解説を付し、都市の地下地質を体感できる「東京の地下地形模型」を作成した。これら以外にも、常設展示として明治以降の地質図の歴史の紹介、社会と鉱物資源とのかかわり(世界の金属資源)を紹介する大型模型の改修など、地質の情報を可視化する展示を増やしている。このほか、音声ガイダンスの新設など来館者の理解の助けとなる展示の改修や、薄片技術や南海トラフの地震予測などに関する展示の更新など、最新の技術の紹介スペースを増加させた。次に、平成30年度には5回の特別展・企画展を行った(「関東平野と筑波山 -関東平野の深い地質のお話-」、「地球の時間、ヒトの時間 -アト秒から46億年まで35桁の物語-」、「『化石の日』制定記念 素晴らしい日本の石・ニッポニテス)」、「明治からつなぐ地質の知恵 北海道の地質 -北海道命名150周年-」、「GSJのピカイチ研究 -2018年のプレスリリース、主な研究成果-」)。特別展・企画展の実施に当たっては、SNS、新聞等のメディア、出版社からの取材など、さまざまなチャンネルを使った広報を行い、来館者の増加に努めた。また、「地球の時間、ヒトの時間…」では、地質年代測定を行っている企業や、時間標準を研究している計量標準総合センターとも連携した展示を行った。さらに、平成30年度は、更新した展示物を活用した地質標本館ツアーなどの機会を増やし、さまざまな階層に地質と社会の関係について理解増進に努めた。夏休み期間中には、恒例となっている「化石クリーニング体験教室」や「地球何でも相談」などのイベントを実施し、地球科学情報の普及啓発・理解増進につなげた。また、地質標本館グッズを通じて地質研究の楽しさをアピールした。なお、既述ではあるが、企業連携の窓口としては、テクノブリッジフェアなどの機会を捉えて、企業関係者を対象とした標本館ツアーや、GSJの持つ世界最高峰の薄片技術と- 23 -

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