平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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という点である。全国水文環境データベースは、全国概要版と各地域の水文環境図の閲覧が可能であり、これまで提供してきたCD版の水文環境図と同様の操作が可能となっている。平成31年度は「山形平野(第2版)」「和歌山平野」を整備・出版する予定である。 ・精密地球化学図 陸から沿岸海域における元素の分布と移動・拡散過程の解明や、環境汚染・資源探査評価のために、自然由来の元素濃度(バックグラウンド値)の把握を目的として、日本全土における有害元素を含む53元素の分布が一目でわかる地球化学図を作成した。全国から約3,000個の河川堆積物、沿岸域から約5,000個の海底堆積物を採取し、化学分析を経て、全国の海と陸の地球化学図を平成22年に整備した。全国の海と陸の地球化学図は自然由来の元素濃度分布の把握を目的とし、10 kmメッシュで約3000個の堆積物試料という試料数密度を設定し、全国版の整備を進めたため、東京などの大都市域において、汚染の少ない試料の採取地点が極めて少なかった。そこで、大都市圏周辺域において、過去の環境汚染の解明にもつながる、詳細な元素濃度分布図の作成を目的として、陸域の試料採取密度を全国図の10倍の密度に増やした「精密地球化学図」の作成を進めてきた。平成27年度には「関東の地球化学図」を公開した。平成26年度から作成を開始した名古屋市を中心とした中部地域については、平成29年度までに約1,200個の河川堆積物試料の採取を完了し、平成30年度に全試料の化学分析を完了した。また、全国版の地球化学図と関東の地球化学図の情報をウェブサイトにて公開した。GoogleMaps上での地球化学図の表示など利便性の向上や、縮尺レベルによるフィルタリングで、小縮尺時は日本全国図を表示し一定のズームレベルに達すると関東の地球化学図に自動的に切り替わるなど、地球化学図の見やすさの向上を行った。平成29年度に3D地図表示用ライブラリである「Cesium」を用いて3D地図上に全国・地方の地球化学図を重ね合わせて表示する機能を構築し、3D地球化学図として公開し、銅、鉛、水銀、クロムの4元素を表示した。3D地球化学図では、試料採取地点をピンで地図上に表示させ、ピンの長さと色で元素濃度を示す。それぞれのピンをクリックすると試料の詳細情報を表示させ、地球化学図を見ながら試料の様々な情報が表示されることにより、利便性が向上した。平成30年度は、富山湾周辺海域について詳細な3D地球化学図を作成した。平成30年10月30日に、講談社「ブルーバックス探検隊」で“全国3000ヵ所の「砂」を調査!元素で見た日本列島の姿“(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58141)として地球化学図が紹介された。平成31年度に中部地域の精密地球化学図「中部の地球化学図(仮題)」は発行予定である。ウェブサイトでの地球化学図の公開及び社会への成果普及にも努める。 ・都市域の3次元地質地盤情報の整備 都市の地震災害予測や地盤リスク評価に資する地質情報整備のために、3次元地質地盤情報の整備を行ってきた。平成25年度から千葉県北部地域において3次元地質地盤図の調査と作成を行い、平成29年度末にウェブ公開し、“千葉県北部地域の地下の地質構造を3次元で可視化-国内初の3次元地質地盤図 、地震防災・減災や地質汚染対策に有用-”と題してプレス発表を行った。地質層序に基づく高精度な3次元地質地盤図の公開は国内初である。平成30年度は東京都23区域において3次元地質地盤図作成に向けた新規ボーリング調査と既存ボーリングコア解析を実施した。この地質調査では常時微動観測も実施し、地下の地質構成により地盤震動特性にどのような差異が生じるかを検討した。その結果、一般に良好な地盤とされる台地の地下に軟らかい泥層が谷埋め状に分布し、地盤振動特性に大きな影響を与えていることが明らかになった。またボーリングデータを利用して層相分布を示したボクセルモデルである3次元地質モデルの試作を開始した。平成31年度は、これまでに進めてきた東京都23区域の地質調査を引き続き行う。 ・活断層・海溝型地震履歴調査・研究とデータベースの整備 将来に発生する地震像を予測し、防災・減災対策に活かすために、過去の地震像を解明することを目的として、地震調査研究推進本部の総合基本施策調査観測計画および科学技術・学術審議会の地震火山観測研究計画に基づき、活断層・海溝型地震に関する地形・地質情報を整備- 21 -

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