平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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合センター長裁量予算を原資とした萌芽的研究推進費を各研究ユニットに配賦し、研究成果のモニタリングを行っている。平成30年度は、リサーチアシスタント21名、イノベーションスクール1名、産総研特別研究員雇用11名といった産総研の制度に加え、GSJ独自の取り組みとして、若手研究者3名の海外派遣を行い、研究のさらなる推進・海外研究機関との連携強化を図った。また、クロスアポイントメント制度として3大学と契約関係を結び、計3名の研究者が同制度の下で研究を実施している。その他、気象庁や原子力規制庁、文科省へ専門人材を派遣し、それぞれ専門人材として火山や原子力施設の立地に関する助言を行っている。JICA研修では、東南アジア諸国等を対象として、地質情報データベース構築、資源調査技術等に関する研修・技術指導を実施した(総受講者数75名)。地質標本館では、平成30年度は9つの大学から計14名の学生を博物館実習生として受け入れた。また、地質試料調製実習(薄片作製)として、企業、研究機関等から4名 を受け入れた。これらの実習・研修においては、各々の実習目的を十分果たすことができた。 GSJの行う地質に関わる人材育成については、平成28年度以前は、成果普及行事の観点で、無償で個別に行われてきた。平成28年度に地質分野における人材育成とデータバンクづくりを目的とした、募集特定寄附金制度(ジオバンク)を開始し、人材育成をジオ・スクールとして開設することとした。また平成29年度には、研修事業の参加者に応分の負担を依頼する仕組みとして産総研コンソーシアム「地質人材育成コンソーシアム」を設立し、現在はジオバンク資金とコンソーシアムの会費の2本建てで研修事業(ジオ・スクール)を行っている。主な研修事業としては、地質調査研修と地震・津波・火山に関する自治体職員研修がある。地質調査研修(5日間)は、平成27年度までは経費収入の仕組みがなかったため日本地質学会と共同で行っていたが、平成29年度からはコンソーシアムの会員事業としてジオバンクの資金も用いて島根半島で行い、平成29年度は1回4名、平成30年度は2回11名に実施した。自治体職員研修(4日間)は毎年7月につくばで継続的に行っており、平成29年度からはジオバンクの経費を使って行っている。平成30年度は12名の参加があった。このほか、平成30年度に新たに地形から地質を理解することを目的に地形判読研修(2日間)をつくばで行い、6名の参加があった。このように、ジオ・スクールがコンソーシアムとジオバンクの仕組みを使って行うようシステムを概ね整えられたのは重要な成果である。平成31年度にはこれまでの研修に加え、鉱山会社向けの鉱物肉眼判読研修を新たに開始し、ジオ・スクールがさらに拡大する見込である。 「ジオバンク」による人材育成事業の一環として、東・東南アジア地球科学計画調整委員会(CCOP)加盟国の若手地質研究者を対象とし、実践的な地質調査技術の向上を目的とするGSJ国際人材研修を平成30年度より開始した。アジア諸国では、自国の資源確保や災害軽減のため、高度な地質調査技術を持った人材へのニーズが高い。GSJが有する先端的な技術の指導を行うことで、東南アジア諸国における研究者の能力向上に貢献するとともに、海外ニーズの掘り起こしや長期にわたる国際的な研究ネットワークを構築する狙いがある。研修生は、中韓を除くCCOP加盟国から各1名を当該国のCCOP常任代表の推薦を条件として招へいすることとした。平成30年度は「GSJ International Training Course 2018 - Application to Geological Disaster Mitigation -」というタイトルで、6月21日~7月13日の日程で開催し、9ヵ国9名の研修生が参加した。研修生の満足度は非常に高く、平成30年10月に開催されたCCOP年次総会においても、GSJの大きな貢献として取り上げられた。平成31年度は6月4日~21日の日程で実施する予定である。 【成果の意義・アウトカム】 博物館実習は、学芸員に必要な標本管理や技術指導にかかる知識を習得するための実習であり、茨城県内では数少ない自然科学系の受け入れ機関として科学技術を社会に普及するための人材育成に貢献している。また、企業・研究機関等からの地質試料調製実習は、世界最高峰の薄片作製技術を体験しもらい、企業での新製品開発や研究機関での分析技術の維持向上につなげた。 地質調査研修は、近年大学においても地質調査実習をきちんとできる大学も少なくなり、関連企業でも人材育成を求められていたもので、電力会社系、地質コンサルタント会社系の参加があり、各企業で仕事で地質を使っていく人材の育成に貢献した。自治体研修では、平成30年度は8県及び1ジオパークから12名の参加があり、各自治体等で防災を担う人材に地質の重要性と活- 16 -

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