平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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【課題と対応】 GSJでは、これまでの多くの大学連携によりシーズ研究を推進しているが、さらなるシーズをくみ上げ、「橋渡し」を推進することが課題である。大学や国立研究開発法人、公設試験研究機関との連携をさらに深めることでより確実な橋渡し研究を推進する。 海外機関との共同研究の実施においては、期待される研究成果や必要性を考慮し、重点的な研究資源の配分を行って、具体的な研究成果に繋げる。 CCOP地下水データベースを構築するにあたり、加盟国の地下水観測の状況は様々であり、観測井が設置されていない国も存在する。そこで、加盟国の地下水観測状況に合わせて3つのグループに分け、それぞれがデータベースの構築作業に取り組んでいる。地下水観測井を持たない加盟国は、本プロジェクト内で地下水モニタリングと地下水管理プログラムの計画案をパブリックポリシーとして作成した。 ASOMMにおいてASEAN諸国からの継続の要望が大きいことを考えると、何らかの継続措置は必要と思われる。現在、三本柱として行っているシームレス広域地質図、GISによるデータベース高度利用、リモートセンシングデータ利用のうち、広域地質図については今回の図幅の範囲外となったマレーシアより、拡充の希望が出ている。データベース高度利用についてはGSJの協力により新サイトが立ち上がったものの、未だASEANが独力で運用できる段階にはない。この点については研修でなく、OJT等による対象を絞った人材育成を行うことが望ましい。リモートセンシングについては各国からの期待も高く、継続が望まれる。また各国では資源探査のみならず現地調査が困難な地域における予備的な地質調査に利用したい、といった具体的な要望があるので、それを汲み上げた形で研修を行うことが必要である。 G-EVERコンソーシアムは平成24年に設立以降、上記で述べた災害情報図やそのWebでの公開を進めてきた。これにより、複数国に影響が及ぶ大規模な地質災害に対する「国際的知的基盤情報」の集約と、その為の関係者間の協力・連携を先導するコンソーシアムとしての目的は達成された。今後は、これらの成果が、引き続き関係各国で活用される形で維持・管理される為の枠組を検討すべき時期である。例えば、産総研(地質調査総合センター)では、CCOP(東・東南アジア地球科学計画調整委員会)のプロジェクトとして参加各国の地質情報の共有化システムの構築が進められている(CCOP地質情報総合共有プロジェクト; GSi)。これまで本コンソーシアムが構築したデータを GSiのコンテンツの一つとして組み込み、今後の維持・管理を進めると同時に、これまでの活動の成果を今後のアジア地域の防災力強化の核としていく方向性が考えられる。 (5)研究人材の拡充、流動化、育成 【背景・実績・成果】 我が国において地質の調査に対するニーズは、特に東北地方太平洋沖地震を契機に一段と高まっているが、地質の調査を行える研究人材の確保は、大きな問題となりつつある。このため、GSJでは近年特に研究人材の拡充や育成について積極的に取り組んできた。研究職員の採用では、中長期的な研究戦略課題への採用と現行のプロジェクト研究への即戦力獲得の両面をバランスよく目指した。具体的には、これまでと同様博士号取得者を主な公募対象としつつ、平成29年度から修士卒も一部公募の対象とした。これは、修士修了者の中にも、将来第一線の研究者として活躍の期待できる優秀な者が多くいることから、中長期的課題に向けて優秀な人材を確保するためである。文部科学省が平成28年度から導入した卓越研究員制度についても、優秀な研究者の新たなキャリアパスを提示して若手を研究職に惹きつける制度と捉え、積極的な活用を図った。また、即戦力の獲得を目指し年俸制の公募も行った。公募にあたっては、優秀な研究人材を採用し人材基盤を拡充すること、大学と連携して地質調査人材を育成すること、優秀な外国人研究者や女性研究者を積極的に採用することなどを目指し、研究現場のグループリーダー、研究部門幹部やGSJ幹部が採用の渉外活動、広報に積極的に取り組んだ。その結果、平成30年度の採用では、修士型3名、博士型10名、卓越研究員1名、年俸制1名、計15名の優秀な研究人材を獲得できた(うち外国人研究者1名、女性研究者7名)。また、若手研究者を対象とした萌芽的研究の創出、すなわち、GSJのミッションに即した中長期的に核となる研究課題を創出するため、総- 15 -

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