平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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ASEAN鉱物資源データベース(ASEAN Mineral Database and Information System (AMDIS))の整備等がある。シームレス広域地質図についてはタイ鉱物資源局で、またAMDIS はインドネシア地質総局でネットに公開されている。本研修はASEAN 鉱物高級事務レベル会合(ASOMM)での評価も高く、継続要請が出ている。 アジア太平洋地域大規模地震・火山噴火リスクマネジメント(G-EVER)コンソーシアムに参加する各国の機関と連携し、平成28年度に「東アジア地域地震火山災害情報図」を出版した。これは、記録として残っている西暦1850年以降の地震に関する情報や1400年以降の火山噴火に関する情報を統一的な基準で収集整理し、1枚の地質図上に表示したものである。平成29年度には、Web上で閲覧できる情報図としての整備を進めた。情報図に掲載されている大規模災害をもたらした要因情報(津波被災域や降灰域等)は、研究・防災行政・教育機関などから利用を望まれていることから、H30年度に二次利用可能な電子データとして公開した。 【成果の意義・アウトカム】 地質図作成をはじめとする地質情報の整備には、大学と連携して取り組んでいる。平成30年度は、連携大学院へ8名の教員を派遣した(平成29年度10名)。科研費についても代表で平成29年度の46件から53件へ、全体でも100件から129件へ増加し、金額では代表を務める案件の直接経費で9,000万円から1億900万円に増額となり、大学との連携を図り基礎的な研究を推進した。国の地震研究として関係諸機関と連携した調査・研究を行い、国や地方自治体の防災対策に生かされている。火山の噴火や地震災害後の変状や噴出物は、その後の復旧や天候により改変されることが多く、他機関との連携で迅速かつ効率的に情報を取得・解析することで、今後の減災や防災に貢献する。 MOUを締結した研究機関と共同調査を実施することで、民間企業が独自では入手できない地下資源情報などを収集し、それをJOGMECや日本企業に提供し資源権益の取得につなげることを目指している。平成27年度以降、鉱物資源調査では、南アフリカ及び北米(アメリカ、カナダ)のレアアース資源、アルゼンチンのレアメタル・銅・スズ・タングステン資源、ミャンマーのスズ・タングステン・ニッケル・コバルト資源等の調査を実施した。先進国との研究協力では、ニュージーランドでの活断層掘削プロジェクト参加、カナダでの津波堆積物研究、米国での二酸化炭素地中貯留共同実験等を実施した。 東・東南アジア地域における地下水データベースの整備は、これらの地域の自然災害対策及び地下水管理の基盤情報となり、社会経済の安定に資するものである。また、経済発展と共に電力需要が大幅に増大する東南アジアにおいて、省エネルギー・低炭素社会への政策変換は必須であり、地中熱プロジェクトの成果は、東南アジア諸国のエネルギー政策に貢献することが期待される。なお、地下水および地中熱プロジェクトの成果を活用して、民間企業と共同提案した「JICA 2018年度 中小企業・SDGs ビジネス支援事業案件化調査 調査名:タイ王国 帯水層の地中熱利用による高効率冷房システム案件化調査」が採択された。 今後の世界の鉱物資源開発を考えた場合、ASEAN諸国はアフリカ、南米等と並び重要な地域である。ASEANからの鉱物資源情報の提供を支援することは、日本の海外資源開発における基礎データ収集の上で有益である。また、現地地質調査手法やリモートセンシング手法の習得に協力するのは各国地質調査所の調査能力の向上を補助することであり、各国から発信される各種情報の質を高める意味で重要である。今回の一連の研修の中で東南アジア5ヶ国をカバーした国境境界のないシームレスな地質図を作成したが、これは複雑な歴史を持つ当該地域の地質を理解するといった学術的な意味での重要性のみならず、正確で連続した地質情報の上に鉱物資源情報をプロットすることで、国を跨いた資源調査の可能性を高めるものであり、資源探査の面でも重要である。 「東アジア地域地震火山災害情報図」印刷物およびWeb閲覧版は、災害の全貌をとらえ難い大規模地質災害を一望できる地質情報図として、本コンソーシアムに参加している各国の様々な研究機関や教育機関から好評を得ている。また、開発した閲覧システムは、海外機関にも活用されている(例えば、フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)における活断層閲覧システム(FaultFinder)の開発に協力した)。 - 14 -

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