平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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リスク評価、3次元内部構造解析技術の開発等を重点的に行い、これらは民間への技術や製品の提供につながる成果である。 【課題と対応】 ナショナルセンターとしてのGSJにとって、社会における地質情報の利用が「研究開発成果の普及」の表れであり、最重要の課題でもある。近年、ウェブ配信におけるアクセス数が上がり続けていることから、地質図をはじめとする地質情報に関する認知度は着実に向上していることは確認できるものの、さらなる利活用へ拡大していくためには、より一層、地質情報の利便性の追求と、国・自治体・民間企業など社会への成果のアピールが課題である。この対応として、地質情報の価値・利用法を分かり易く社会に提示し、新たなサービス産業創出に繋げていくことに努める。例えば、地質情報のオープンデータ配信を推進する役割を果たしている「地質図Navi」についての定常的なコンテンツの更新や、シームレス地質図等と国土地理院の「地理院地図」とのリンクなどによる機関連携を通して、地質情報の一層の普及とその二次利用等の利便性の向上に取り組む。また、地質標本館を核としたアウトリーチを進めるとともに、つくば以外の産総研地域センターのイベントあるいは地質情報展等の出展を通して、日本各地の人々に、地質から受ける恩恵やリスクについて、分かりやすく伝えることに努める。「知的基盤の整備」によって得られた成果や地質情報の発信においては、信頼性の高い情報の速やかな公開を旨とし、社会的状況を配慮しつつ、プレス発表や報道対応等を積極的に行う。 GSJの研究開発活動は「知的基盤の整備」がベースとなるため、「橋渡し」機能については公的機関への対応(GSJにおける「橋渡し」前期研究)が近年までの中心であり、民間との連携となる「橋渡し」後期研究についてはGSJの文化としては乏しいことが課題であった。その強化対策のためには、社会に利用される技術の創出の必要があり、各分野において社会の需要を推し測りながら新たな技術を開発していく。 また、研究資金の調達が難しいという課題がある一方で、募集特定寄附金ジオバンクは産総研の中においてもGSJならではの制度であり、ナショナルセンターとしてGSJが所有する人材や地質情報、研究に関わる技術やノウハウ等は、ジオバンク事業を通して人材育成やデータ公開という形で社会へ還元が可能である。国内外に向けた地質調査技術研修やアウトリーチ活動等はジオバンク事業としても重要な位置付けにあり、今後もその活動を拡大していく。GSJがジオバンクを上手く運用していくことがGSJのさらなる独自性発揮にも繋がり、地質情報を通した社会の活性化への貢献ができる。 (2)技術的ポテンシャルを活かした指導助言等の実施 【背景・実績・成果】 平成30年度計画では、産総研の技術的なポテンシャルを活かした指導助言をすること、コンサルティング制度を職員に理解させ、平成29年度を上回る技術コンサルティング収入を上げることなどが記されている。技術コンサルティングに関しては、件数、合計金額とも増加しており、職員にこの制度が浸透してきたことが数値として表れている。平成30年度の民間資金獲得額3.7億円(平成30年12月末時点)の内、その3割程度を技術コンサルティングが占めるようになった。技術コンサルティング制度が始まってからその割合は伸びている。また、地質相談業務、地質情報展(胆振東部地震で中止となったため、平成31年3月に開催予定)、取材報道対応等の活動を通じて、専門家として科学的に正しい情報を提供することによって、一般市民の地質への理解と社会への地質の浸透を着実に進めている。産総研技術移転ベンチャーについては事業支援が求められており、既存のベンチャーに対しては頻繁な面談と助言を行い、これから立ち上げる新規案件についてはサポートを着実に行っている。 技術コンサルティングについては、平成27年度は1件(130万円)、平成28年度は7件(1,500万円弱)、平成29年度は21件(7,400万円強)と順調に増加してきた。これは民業圧迫にならず知財が関係しない事案についての技術コンサルティング制度が平成29年度よりGSJでは推奨されており、地質コンサルタント会社に対する技術コンサルティングなどを積極的に増加させた結果である。平成30年度の技術コンサルティングはさらに増え、24件(1億700万円)となった。- 7 -

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