平成30年度研究評価委員会(地質調査総合センター)評価報告書
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独立行政法人をはじめ、文部科学省、原子力規制庁等が挙げられ、主には火山活動に対する観測調査や長期評価、深層地下水の化学的性状評価や地下水流動に関する調査、巨大地震に備える観測技術の開発、水道管の腐食リスク評価のための調査技術開発、ドローンを利用した空中電磁探査技術開発などを実施した。 「橋渡し」研究後期とは、主に民間企業からの資金提供によって運営している研究事業を指す。企業との共同研究を多数展開するとともに、技術コンサルティング事業の増加を図り、より多くの民間企業との研究協力を推し進めた。ここでは人工知能(AI)を導入した微化石の自動鑑定・分取システムの開発や、粘土素材を用いた省エネルギー技術、未利用資源の窯業原料化、海底曳航式調査システムの開発、地震・火山噴火への緊急対応等を重点的に、そのほか多岐にわたる項目を実施した。 また、平成29年1月に創設した募集特定寄附金制度GeoBank(ジオバンク)を運用し、民間企業あるいは個人からの寄付を受けながら、地質調査技術研修等の人材育成を通して社会への還元を行った。 さらに、以上の項目を実施するとともに、各研究開発事項や外部資金獲得、論文発表数等については平成30年度の計画における目標を定め、国内外との連携活動、また人材育成や研究成果の情報発信等の達成のため、GSJが持つ人材、技術及び技能、知的財産(特許・ブランド、著作物等)、施設及び組織力、社会とのネットワーク等の知的資産を最大限に活用しながら多くの成果を達成した。特に、平成30年度の民間資金獲得額は、目標値2.9億円のところ、3.7億円程度(平成30年12月末時点)が見込まれ、目標を大きく上回った。 【成果の意義・アウトカム】 「知的基盤の整備」においては、地域性やニーズを意識した成果公表に努めるように方針を転換し、5万分の1地質図幅は調査地域または近隣の都市でプレス発表を行うことを出版とセットとして実施することを基本方針とした。これにより、テレビや新聞等のメディアで取り上げられ、地域住民や自治体からの問い合わせが多数あるなど、地質図と地質情報に関わる飛躍的な認知度と需要の向上につながった。また、東・東南アジア地域の地質情報の総合的なデータ共有システムの構築を目的とするCCOP地質情報総合共有プロジェクトを主導し、CCOP各国が保有する各種地質情報の数値化を進めた。GSJによる様々な地質情報が、国の高レベル放射性廃棄物の地層処分地の選定を可能にする科学的特性マップの作成に利用されたことは、GSJが長年にわたって地質情報の蓄積と整備に従事してきたことによる大きな貢献の一つである。 「目的基礎研究」においては、メタン生成菌コミュニティの安定培養手法を確立し、地下の原油をメタンに変換する新たな資源技術を開拓した。また、超臨界地熱の利用に向けた技術開発、土壌・地下水汚染浄化技術開発、微小地震の発震機構解をベースに各地の応力分布をまとめた地震テクトニックマップの高度化技術等に関する調査・研究、サンゴやサンゴ礁を対象とした気候変動に関する研究、岩石の磁気記録の精密な分析と機械学習を導入した手法開発などを重点的に行い、橋渡しの基礎となるシーズ研究を推進するとともにこれらの研究成果の利用価値を明確にした。 「橋渡し」前期研究としては、火山活動に対する観測調査や長期評価、深層地下水化学的性状評価や地下水流動に関する調査、巨大地震に備える観測技術の開発、水道管の腐食リスク評価のための調査技術開発、ドローンを利用した空中電磁探査技術開発、二酸化炭素地中貯留に関する調査、、OSL年代測定による隆起活動評価、表層型メタンハイドレートの資源量評価、海外での金属資源量評価、地熱井の掘削のための高性能ビットの開発など、これらは主に社会や公的機関の需要となる技術、さらに将来的には民間への橋渡しとなる技術である。 「橋渡し」後期研究においては、民間企業と共同で人工知能(AI)を導入した微化石の自動鑑定・分取システムの開発を世界で初めて行い、特定の微化石の分取と集積を長時間、自動的に行うことを可能として、地層解析の効率化を実現した。また、優れた粘土系吸着剤であるハスクレイの蓄熱性能を100℃以下まで利用可能温度を拡大する技術開発に成功し、さらに実用化試験として高性能な蓄熱システムの実証試験に成功した。また、地中熱の利用技術の開発、海底曳航式調査システムの開発、地球観測衛星データの運用・品質管理のための技術開発、表層土壌の環境- 6 -

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