平成30年度研究評価委員会(生命工学領域)評価報告書
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すものであり、引き続き、戦略的に強化していただきたい活動と考える。 ・橋渡し研究前期を中心に,3つの重点課題いずれにおいても,各部門の強みを最大限に活かした,成果をあげることができていることを高く評価したい。橋渡しに対応できる個々のポテンシャルを活かした橋渡し研究の流れが本格化しつつある。 ・総体的に多様なポテンシャルを有する研究成果が上がり、高いインパクトファクターの論文誌に掲載される論文が増加している。生命工学領域において世界的な観点から水準の高い研究開発が推進されていると評価できる。 ・産総研は国内では産官学の橋渡しとなる役割が期待されるが、本領域の取り組みは、医療機器としての製造販売承認や、OECDガイドライン化に取り組むテーマも輩出しており、基礎研究から実用化を目指したプロセスの流れが研究者のマインドに根付いたと評価したい。 (改善すべき点及び助言) ・ベンチャーによる価値創造の定量化が必要と思われる。 ・目的基礎研究の段階から出口戦略を意識して、企業等との議論を通じて課題設定を進めるべき。 ・生命工学領域の強力な基盤技術力から目的基礎研究が生れておりその技術レベルは極めて高いが、一方で「橋渡し」研究などから生まれる「目的基礎研究」への展開は少ない。研究開発を意図的に循環させるための施策はまだ不十分と思われる。 ・特許実施の件数での定量評価は、特許のインパクトを示す指標として適切なのか疑問に感じる。 ・民間からの資金獲得についてより広範な獲得手段があるわけでそのロジックを至急構築する必要がある。 ・民間資金獲得を含む外部資金獲得については、この数年停滞しているのは事実である。技術コーディネーターなどの活用もさることながら、領域を定めて論文や研究成果で牽引する研究者に対しても、マネジメントとして取り組むなど、本気で資金獲得に取り組んでほしいと感じた。 ・次期中長期計画策定に向け、生命工学領域(産総研)の我が国における研究推進体制の中での立ち位置と、果たすべき役割に関して見直しを図るべきと考える。国が掲げる研究戦略や研究目標と結果的には関わりはあるが、具体的にはその関係性を明示しておらず、独自路線での研究方針がとられているようなイメージが強い。 ・当該領域の場合、その研究推進や成果創出の多くが傑出した専門のシニア研究者に大きく依存しているイメージが強く、今後の、組織としてのテーマ立案や研究チームとしての安定的な運営に大きな不安を抱く。研究のカテゴリーの見直しも定期的に実施すべきと考える。長期的なテーマはあっても良いが、長期にわたって研究テーマを維持するのは疑問であり、早く切り替えるとか当該テーマを産業界に早く引き渡すなどの柔軟性のある運営やシステム構築を図る必要があると考える。同時に、研究を牽引する次世代の当該領域を担う人材の計画的な育成にも注力すべきと考える。また、領域の運営方針として掲げている「産業界に役立つ人材の育成」とあるが、その具体的な内容が見えていない。どのくらいの人材が産業界に輩出され、具体的な成果に繋がったのであろうか、その取り組みと実績は産総研のミッションでもあり、明確にすることを期待したい。 ・産総研評価における評価軸や目標値に対しては、見直しを図る必要があると考える。とくに民間からの資金獲得に関しては、これまでの実績と当該領域の実情を踏まえて目標額が設定されるべきで、一方的に目標額を高く設定することは、あまり意味のないことと考える。また、当該領域の研究管理部門にあっては、民間資金獲得が少ないのはこの領域の特徴であって、仕方ない部分があると位置付けているように見受けられる。改善に向けて計画的な対応を積極的に図っているとは言い難い。なぜ、獲得額が横ばいなのかをしっかりと解析して、善処すべきと考える。そこで、当該領域の考えるべきことと経産省に対する働きかけとして、以下の3点を提案したい。 ①当該領域の強みや特長を明確に表すような評価項目を独自に設定し、そのアクティビティが専門外の人や外部にも理解してもらえるよう見える化の推進を実施する。 ②公的資金の獲得額も同様な研究活動の成果であり、それも評価対象となるように評価項目の見直しを提言すべきと考える。国の財務管理の在り方の問題かもしれないが、実態を踏まえると、当該領域の研究活動に関して正当な評価がなされているとは思われない。 ③Society 5.0に関わる施策や新規に策定されるバイオ戦略など、我が国のバイオ産業や国際競争力の強化による経済発展に向けた実施計画案に、産総研の生命工学領域(この領域に限定せず)が主軸となって日本の科学技術研究を先導するような技術開発研究の推進体制が構築されて、従来の交付金とは異なる資金配分がなされると、産総研の企業との連携における立ち位置ならびに使命も明確になり、基礎研究から実用化への流れもより明確になり、エコシステムの実現と研究の活性化が期待できると考える。 - 91 -

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