平成30年度研究評価委員会(生命工学領域)評価報告書
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・本領域が伝統的に有する強みを最大限に活かした研究が多く含まれていることもあり,目的基礎研究として位置づけたい内容と橋渡し研究前期と位置付けたい内容に関して,実際はカテゴライズが難しいかもしれない。強みを有する分野における研究成果は,産総研全体が採用するカテゴライズから考えれば,橋渡し研究前期となるが,目的基礎研究としても高く評価したい。 ・医薬候補化合物の自動設計プログラムは民間資金が出やすい領域である。使われて知見が蓄積されればされるほどシステムの信頼が高まるため、創薬企業がアクセスしやすい仕組み作りが望まれる。 【とくに平成30年度に対して:平成30年度評価】 (評価できる点) ・新規の入れ歯用粘着剤を開発・製品化し、厚労省製造販売承認を獲得した。 ・物質生産に障害となるリグニンフリーでグルコース産生量の高い植物細胞壁の形成に成功した。 ・鶏のゲノム編集で、継代での人インターフェロン安定産生に目途をつけた。 ・入れ歯の粘膜は菌が繁殖しやすいのだが、抗菌を維持する薬剤を開発して厚生労働大臣が製造販売を承認している点は、この業界としても初めてであり、研究から市場導入までの道筋を短くする研究として、高く評価する。 ・当該領域が牽引してきた糖鎖研究は着実に推進し、より具体的な疾患バイオマーカー・治療薬の開発研究に展開されており、実用化一歩手前の具体的な成果として技術開発がなされている。 ・バイオマス利活用における重要なポイントとなるリグニンのない植物細胞壁形成に成功させたことは、当該領域の技術開発力の高さを明確に示すものである。 ・レクチンアレイ,金の卵,リグニン,臓器チップ,入れ歯用治療剤等,社会要請の強い分野への高い貢献に加え,先端性の高い橋渡し前期研究が展開できており,高く評価できる。SIP事業への積極的参画も高く評価できる。 ・糖鎖研究に基づいたバイオマーカー開発や、マイクロ臓器チップ開発は、米国に伍して推進していかねばならないテーマ群である。本領域では創薬研究、in vivo/vitro検査における独自のコンテンツを抑えることが出来る成果が得られている。 ・卵を用いた医薬関連物質生産や、植物由来の物質生産量を上げるリグニンの研究など、独自性ある興味深い実用化研究が進捗しており、ニュース性がある。 (改善すべき点及び助言) ・医療基盤技術開発において、トピックスはあったものの30年度としてはマイクロ臓器チップ開発についてはゲインが見られない。 ・テーマ策定に向けて課題の抽出など大企業との連携を考えはじめているというが、その活動実態が見えていない。 ・最近話題の「バイオ×ビッグデータ」などで明らかなように、データ駆動型社会の実現に向けて、産総研あるいは領域内での関連部門との連携の在り方が不明確である。従来の枠組みにとらわれずに横断的な連携による次世代対応型の推進方法を考えても良いと思われる。 ・個々の研究者のポテンシャルを最大限に活かしていることもあり,他分野に比して,橋渡し後期への移行時期を定めることが難しい運営になっていることは指摘しておくべきである。橋渡し後期における,企業導出関連に若干の遅れをとっていることとの関連を考慮したい。 ・昨年に引き続き、特許実施件数は目標値を大きく上回ったことは、知的財産マネジメントの向上を示す成果である。 ・マイクロ臓器チップや歯科材料は米国の特許出願(特に製法特許)が多く、権利化、実用化に向けては出願後対応が必要になると予想される。そうした対応が研究者の負担にならぬように、組織的な対応が望まれる。 (3)「橋渡し」研究後期における研究開発 【第4期全体(見込を含む)に対して:見込評価】 (評価できる点) ・ロボット技術をバイオ実験に応用した汎用バイオロボットを開発し、産総研発のスタートアップとなった。その後も事業を発展させ、民間企業へのM&Aを通じてExit戦略を完遂させた。 ・化学合成困難な3ヒドロキシ酪酸を、微生物を用いてTonスケールで製造する技術を開発した。 - 88 -

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