平成30年度研究評価委員会(生命工学領域)評価報告書
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開き、目標としての意味がない。その状況に対して、当該領域の特徴から仕方ないとする雰囲気が漂い、領域の研究推進体制やアウトプットの示し方などの改善に向けた課題抽出のための解析が十分になされていないように思われる。経産省への見せ方や働きかけなども含め、打開策を講じる必要がある。また、戦略的重点投資の制度があるが、領域への研究費配分が目標達成率に対応している点は、産総研内での支援の在り方や独自性にも疑問があると思わざるを得ない。 ・全体的に質的にも量的にも高い内容で成果を挙げているが、優れた研究リーダーの能力に依存した内容が多く、組織としての研究推進力の継続性に関して戦略性が明確になっておらず、将来に向けて不安がある。 ・運営費の顕著な減少への積極的な施策実施は評価できるものの,民間資金獲得への長期的取り組み,マーケティング力強化に関しては,さらなる展開が必要であると思われる。本領域に関して産総研が有する広範な分野におけるポテンシャルを展開するための礎が築かれつつあることを踏まえ,具体的実績の継続的蓄積に期待したい。 ・産業界の基礎投資が減って、研究開発型から買収型に転じている傾向は今後も進むと考えられる。こうした環境下で民間資金導入が評価軸として独立していることは、他責要因の混在となりかねない。一方、本領域の技術的な高いポテンシャルを頼って技術コンサルティングや新規契約は増えており、これらと民間資金導入を合わせて外部資金全体として捉えて目標値にするなど、第5期に向けて最適化が必要である。 【とくに平成30年度に対して:平成30年度評価】 (評価できる点) ・マーケ力強化によってマイクロバイオーム解析関連の大型連携事業等の推進や、新規の民間企業との共同研究創出など、まだ数字には現れてはいないが、民間資金獲得のための施策が実を結びつつある。 ・女性の採用という点でも、研究者の新規採用の3分の1が女性になるなど、具体的な改善が図られている点は評価が高い。 ・技術コンサルティングを活かした指導助言の実施によって、総額としてはまだ少ないが、着実に民間からの研究費獲得額を向上させた。マーケティングの強化による産業界への橋渡しの潜在的な可能性を示すものであり、引き続き、戦略的に強化していただきたい活動と考える。 ・民間資金の獲得増に向けて、産業界での投資の在り方を解析し、産業界と一体化した研究課題の抽出を考え始めたという取り組みは評価できる。 ・前年度の評価コメントに対する対応を整理し、示したことで評価者との相互理解を深めたと評価できる。 ・修士卒の女性を含む研究者を新たに選抜して採用したことは、人材育成の幅を広げる取組みとして評価できる。 ・橋渡し研究前期における,本領域が持つ強みを最大限に活かした成果が秀逸である。幅広い領域における研究ポテンシャルを完全に理解し,研究を推進させるマネジメントは特筆に値する。独創性の高い目的基礎研究における成果を導いている領域マネジメント,技術コンサルティングの定着,先導的な人材採用方法,等優れた取り組みを特に高く評価したい。 ・農業分野、歯科分野など現場の重要課題を解決する成果があった。末長く蓄積してきた知見を駆使して実ったものが多く、本領域の強みを感じる成果である。 ・論文発表数が盛り返し被引用件数も伸びていることから、質の高い研究が推進されて世界の注目を得ていると評価できる。また新規契約が伸びており、企業が技術成果を使いやすい環境、仕組み作りに工夫があったと評価したい。 ・イノベーション人材を中心に人材育成、人事交流に力を入れて、特に、若手支援について領域内で競争的資金が定着したことは研究者のモチベーション向上に寄与していると考えられる。 (改善すべき点及び助言) ・様々な試みを進めていることは認めるものの、民間資金獲得目標に対して30年度は、乖離が2.5倍と益々大きくなっている。目標設定に問題があるのか、進め方の抜本的な見直しが必要か、総括が必要と思われる。 ・これまでの研究の成果が具体的な果実として示せるようになり、次年度以降の社会実装の実績に大きく貢献するものと期待できるが、成り行きに任せるような雰囲気は否めない。強い意志を持った戦略性のある研究管理が十分に機能していないように思われる。その研究推進における経緯を総括し、新たなテーマ策定に活かす方法論を構築することを期待したい。我が国の研究推進における産総研の位置付けと役割を見直し、世界の潮流(バイオとデジタルの融合技術やバイオエコノミーの推進)を見据えたグラ- 84 -

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