平成30年度研究評価委員会(生命工学領域)評価報告書
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評価委員コメント及び評点 1.領域の概要と研究開発マネジメント 【第4期全体(見込を含む)に対して:見込評価】 (評価できる点) ・戦略予算を重点配分したスマートセル、臓器チップ等が大型国プロ研究にステップアップし、あるいは産総研発ベンチャー設立、企業連携に育ってきている。 ・大学連携のOILが立ち上がり、論文発表や共同研究で具体的な成果が得られつつある。 ・技術コンサルティング活動が着実に育ち、獲得額ベースでの評価では未だこれからだが、産総研をHubとする技術支援、事業支援が機能してきた。 ・研究人材育成、経験者の招聘研究員としての活用、領域内の競争的資金導入や国際共著のインセンティブ付与などの施策を通じて研究者の活力向上が図られた。 ・創薬・ヘルスケア・バイオと幅広い領域を担っているにも関わらず、糖鎖バイオマーカーやマイクロバイオームの精度管理技術の開発など、意欲的なプロジェクトが数多くあり、同時に10社に渡るベンチャーを創出しているなど、産総研として誇らしい成果を上げている。 ・また海外拠点の取り組みという点でも、欧米に加え、インドを中心としたアジアに目を向け、固有生物資源の活用や人材育成に向け連携を強化している点は、高く評価したい。 ・研究の重点化と傑出した優れた研究員の活躍もあって、第4期全体として国際的にも高く評価される成果が多く創出されたと判断できる。その一部は、ハイインパクトな国際誌にも掲載されている。各ステージにおける各研究課題も当初目標を達成する新たな発見や技術開発につながっており、今後の展開や社会実装に向けた具体的なアウトプットが期待できる。とくに目的基礎研究においては、新たな視点に基づく研究展開と波及効果のある成果創出がなされており、今後、産業面だけでなく学術的な面においても好影響を与えたと考える。 ・本領域が持つ強みを意識した三つの研究戦略に基づき,産総研発ベンチャーの積極的展開等も視野に入れ,研究を推進している。産業界との積極的な連携体制推進のための礎が築かれ,高く評価できる。具体的な目標設定から成果を達成できている。幅広い研究分野を包含しているにもかかわらず,目的基礎研究,橋渡し研究前期を中心に,学術的にも技術的にも高いレベルの研究成果に導くマネジメントが展開されており,特に高く評価すべきである。大学等との連携強化,技術コンサルティング,特許,人材採用方法等についての戦略的取り組みも素晴らしい。 ・創薬基盤、医療基盤・ヘルスケア、バイオ生産の分野について戦略的に予算を配分し、国内外の連携を強化して拠点形成を行ってきたことを評価したい。特筆すると、産総研、阪大の先端フォト二クス・バイオセンシングOILのような連携拠点は、産総研のデバイス技術、阪大の光計測技術、が力を合わせて無標識生体イメージングについて世界TOPの研究を推進できる高レベルである。また複数のテーマで医療機関と連携を強化し、基礎研究から研究前期、後期へのプロセスを進展させていることも秀逸なマネジメントが実った成果である。 ・第4期を通じて公的外部資金受託が右肩上がりに増加しており、本領域への期待の上昇が認められる。次期へ向けて世界レベルの成果の発信を期待したい。 (改善すべき点及び助言) ・一部にSDGsの観点からの成果貢献が示されているが、一方で、直接・間接を問わず全課題のSDGsへの紐づけが必要と思われる。 ・ベンチャーによる価値創造の定量化ができていない。あるいは指標に盛り込めていない。民間資金獲得は、共同研究資金獲得のみならず、産総研発ベンチャーに対するVCからの投資、企業M&Aによる売却も含まれる。それらを積み上げ領域のパフォーマンスとして提示・議論すべきである。 ・いずれの研究ステージからも、常に橋渡しによる事業化商品化に向けた動きを推進すべきで、マインド・仕組み両面からみてもの足りない。特に、目的基礎研究の段階から出口戦略を意識して、企業等との議論を通じて課題設定を進めるべき。 ・生命工学は国としても重要な施策にも関わらず、この数年、民間資金の獲得がうまくいっていないことは残念である。リスクが高いうちは民間からの資金が流れにくいというハードルはあるが、ベンチャーへの資金提供という点も含めて、民間からいかに資金を獲得するか、考えて欲しい。 ・目標とする民間からの獲得額が年々上昇し、実績との乖離が大きく、どんどんと“ワニの口”のように- 83 -

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