平成30年度研究評価委員会(エネルギー・環境領域)評価報告書
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はその裏返しとしてのコストカット主義が失われた20年30年を生んだと考えるとき、日本の技術史(失敗例であれば、どこで間違ったか)を総括することは、同じ轍を踏まないために必要だし、それはこうした前史を知らない世代の人材育成のためのよい教材たりえるのではないか。 ・市場規模の予測とその実現に必要な技術、そのうちどこを担っているか、その技術がクリティカルパスの一つになっているのか、という視点で見ると見込みが甘いように感じる。また、日本市場だけでよいのか、特に再生可能エネルギーで巨大市場になりつつある中国企業が実施している技術に対し、優位性がどこにあるか、中国での特許取得を含めどの技術を優位にしたいか産業界が要望しているか、出口が漠然としていて、勝ちのシナリオが読みにくい。 ・再生可能エネルギーを軸足に創エネのテーマが構成されているのに対し、蓄エネはEVが出口となっていて、エネルギーの軸足がちぐはぐ。 ・「橋渡し」後期のテーマは、国際標準化に向けたテーマ設定も必要 ・再生可能エネルギーは、人類文明の維持発展、将来の社会基盤創成のためにも非常に重要である。だが、太陽光、風力、地熱と総花的であり、時系列的にも、重点化が必要と考える。従って、競合領域を包含した研究開発のロードマップの策定や連携を期待する。 ・ブレークスルーにつながるような研究、”世界最高水準”を目指す展開も期待したい。イノベーションと実用化を目指した研究開発のバランスが重要と考える。 ・電池、太陽光発電などに加え、パワーデバイスに加え、海外に勝てる展開を期待する。 ・FREA被災地企業のシーズ支援に関しては、後フォローも重要であろう。 ・日本の半導体産業が失速した反省も踏まえると、細かい技術の向上より、ビジネスモデルを考えた全体コンセプトを固め、重要技術の抽出と適切な要求仕様に落とし込むことが求められる。 ・エネルギー・環境問題を取り巻く状況が大きく変化しているなか、従来の延長線でなく新しい価値創出に向けての新規のチャレンジにも期待したい。 【とくに平成30年度に対して:平成30年度評価】 (評価できる点) ・地域イノベーション推進の観点からは、福島再生可能エネルギー研究所(FREA)において新たな技術開発のための予算(被災地企業等再生可能エネルギー技術シーズ開発・事業化支援事業 (平成 30~32 年度))を獲得したことは大きな成果。今後も地元企業に密着した新産業の創出を期待する。 ・これまで試行錯誤のうえで改良を重ねてきたエネルギー構成図は、エネルギー供給構造の推移と、想定される電源構成を定量的に示しており、日本がエネルギーミックスの考えに基づいて、多様な電源を選択肢として持つことを強く表しており、産総研内部に向けたメッセージとしてだけでなく、日本の意志を国際的に示した点において、高く評価されると思います。 ・基幹の性能確立に絞った研究推進、トップレベルの研究テーマでの国際連携、今後成長が期待できる若手の人材育成を同時に進めながら、橋渡しを企業へつなぐ指標である外部資金調達も着実に増加させることができ、マネジメントの成果が着実に出ている ・エネルギー・環境問題に関わる課題の設定、技術領域の明確化、シーズを踏まえた研究開発テーマ設定がなされ、産業界への貢献を含めて、期待される。 ・目的基礎、橋渡し前期、後期のそれぞれのフェーズで、目標を上回る成果や世界発の特筆すべき成果が得られている。CFTの新たなプロジェクトも立ち上げられている。 (改善すべき点及び助言) ・産総研の2030年に向けた研究戦略は確認できたが、この戦略が個別テーマに浸透しているのか、まだ乖離が大きいように感じた。今後、教育含めて展開し、第5期に向けた研究テーマへの反映を期待する。https://www.aist.go.jp/aist_j/information/strategy/index.html ・平成30年度の成果状況が、前年に比べてやや低下しているように見えますが、原因分析はしっかりなされており、最終年度も目標が達成されるように希望します。 ・民間からの研究資金目標未達が本当の課題か心配します。産総研として民間の資金で非公開の研究を進めることが国民にとって良いことかの指標が必要。得られた知見のうち科学技術の発展に寄与することが論文として発表するなど税金をもらって仕事をしている研究者の知恵を還元することもマネジメント課題に思う。 ・研究開発テーマが、総花的になり勝ちで、重点化を含めて、もう少し整理した方が良いでしょう。 ・エネルギー政策の策定や見直しに貢献することを期待する。 ・各技術の全体および個別のロードマップの精緻化。マイルストン、トールゲートの明確化。 - 124 -

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